第6話 結婚の告白
私は青葉君が怪我をしていないかを気にする。
「ごめんなさい……私のせいでこんなことに……怪我してない?」
「大丈夫だよ。怪我はないよ。それよりもあの子達、警察に逮捕させた後は出禁だね」
「あいつらは元々私の仲間というか友達だったの。まさかこういうお店に来る趣味があったなんて、知らなかった」
「玉の輿を狙っていたんだね。ここってお金持ちで有名な人が常連で来るからね」
「そう……だったんだ」
「そういう人って弱い人を助けるふりして見下したり、助けを求めてきたら裏切るってタイプだから……こういう女性って怖い」
「あのさ……」
青葉君の話を聞いて私も自信がなくなった。私はヤンキーだったし今でもそれらしい格好をしている。それにさっき青葉君の前で派手に悪仲間Aさん達を懲らしめた。
本来なら女子が男子に守られるものだが、私はあえて男子である青葉君を守った。
それに私は身長や見た目でも青葉君の婚約者ってイメージじゃない。だから私が結婚の告白をしたら受け入れてくれるか不安だった。フラれてしまったらショックで死んでしまいそうになる。
私は下を向いて青葉君に背を向けて震える。
「どうしたの水火?」
「青葉君は、私の事……悪い女だって思った?」
「えっ?」
「青葉君には人の考えていることや心の中が分かるんだよね。じゃあ私なんて……」
「水火、場所を変えようか? 水火が待っている間なんだけど、赤沢グループの交通会社が経営しているホテルの最上階のロイヤルスイート部屋を予約しておいたんだ」
「私なんかが……」
「水着は買ってきてる?」
「水着?」
「プールがあるんだよ。その部屋にしかない外プールが」
「まだ……」
「じゃあ待ってあげるから買ってきてほしい。お金は僕が出すよ」
10万円という大金を渡されて困惑した私だったが、青葉君が望んでいるとあっては断れなかった。私は青葉君と水着フロアに行って水着を購入。10万円というわけで店員さんは特別に一般客には売らない高価な水着を私に勧めてくれた。
私はその中の1つである黒いビキニを購入した。
その後、私と青葉君は車に戻ると、青葉君は例のホテルへ向かうよう運転席で待機していた執事に指示した。
ホテルへ着くとチェックインを済ませ、ホテルマンに部屋を案内される。
行動中にホテルマンが青葉君に話しかける。
「青葉様、お美しい方を連れられておりますね」
私は照れて下を向く。青葉君は容赦なく私の事を話す。
「もう決めている。僕はこの子と結婚する」
突然の告白で私は驚いて頭が真っ白になる。そして顔が真っ赤になって胸が苦しくなる。
そんな状態の私を見てホテルマンが青葉君に説教をする。
「青葉様、告白は私にではなく、そちらの方と2人っきりの時にするものです。これでは良いムードではありません。空気を読めていない証拠です」
「そうなの?」
「はい……やれやれです。恋を知らない男性というのはこういうものですか?」
そんなこんなだったが、部屋に入ると私は青葉君と2人っきりになる。
部屋のすごさよりも私にはさっきの青葉君の発言が心残り。
「あのさ……青葉君。さっきの言葉って」
「ああ……ごめん、僕……余計なことを言ってしまった! こんなのだめだよね。告白なんかしちゃって。僕は馬鹿だ!」
ベッドに飛び込んでバタバタしだす青葉君。とりあえず私はプールに入ろうと、部屋にある更衣室で着替える。更衣室は1人だけが着替えられる部屋。プールがあるロイヤルルームにしかない部屋だ。
私が着替えた水着は布面積が多い黒いビキニで下もジーンズの短パン水着。脇は露出しているが胸は谷間を含め見られて恥ずかしい箇所は隠せている。背中とお腹は大胆に露出しているが、水着の格好をしている時に見られて恥ずかしいと思うところは隠せているため私は気にしない。
水着に着替え終えて部屋を出ると、青葉君も水着に着替え終えていた。
どうやら私が更衣室で水着に着替えている時に執事が持ってきてくれたようだ。
そして私が出る前に着替え終えたようだ。
黄緑の水着を穿いているだけで、上半身は裸。その裸は筋肉が幼い感じ。でもそんな青葉君の体が私は好み。
私は青葉君の水着姿に惚れて、緊張しながらしゃべる。
「かっかわいい……」
「かわいい? そうだよね。幼く見えるよね。こんなんじゃ嫌われて当然かな?」
がっかりする青葉君に私はお願いポーズをして発言する。
「私……かわいい水着姿の青葉君が好き。それで……青葉君、あの時私と結婚したいって言ってくれてありがとう」
「えっ? いきなりどうしたの?」
「青葉君……私と……結婚してください!」
私はこのタイミングで勇気を出して告白した。告白して涙が出る。もしかしたらフラれるかもしれないという不安だ。
顔を赤くして黙り込む青葉君。突然のことで混乱しているようだが、私の顔を見て私が本気であると思ったようだった。
青葉君は私の両手を握って顔を上げて返事をする。
「はい、喜んで……僕もあなたを愛しています。これからもずっと一緒にいてください」
私は嬉しくて涙が止まらず、泣き疲れてしゃがみこんだ。そのタイミングで青葉君は私を抱きしめてくれた。
私は青葉君の胸で落ち着くまで泣いた。
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