悪魔と牧師 眼には目を、歯には歯を、悪魔には救済を

朽舞仁

第1話 未成年者教師

現代の学校は、真っ黒な闇が満ちている混沌そのものだ。



暴力や無視、悪口によるいじめ。


生徒や教師同士に発生するスクールカースト。


そして、この二つによる鬱の発生。



これ以外にも様々な”負の要因“によって、本来生徒を立派に社会へ送り出す為に存在するための学校が、被害者からすれば地獄そのものだった。だけど誰も変えられない。どんなに訴えても揉み消されて、どんなに耐えても限界が来て、どんなに頼んでも無視されて…そうやってこの地獄はあり続けている。そしてそれは、伝統ある名門校でも例外じゃなかった。


例えば、日本最大都市「東京」でも屈指の名門校として、日本中で有名な高校である「私立明間高校」。

外側から見れば、創立60年超えの伝統ある高校で、生徒の顔も明るく、楽しそうな表情をしていて、偏差値も高く、先生も良い人ばかり。正に「名門校」に相応しい高校だ。


だが、実際はどうだろう?


この世の中、万人に利点都合の良い甘言だけを教えて、欠点腐り切ってる現状を教えていない事なんて探せば幾らでもある。そしてそれは「私立明間高校」も例外では無かった。


「いーち、にーん、さーん。」


ドカッ ドカッ ドカッ


「ガハッ!ゴホッ!」


「おいおい殺すなよwwそいつは俺たちの大事な友達耐久性の高い玩具何だからよ。」


「分かってるってwwwほら、よーんwwごーwww」


これを見たそこの貴方はどう思うだろうか?ひどい?被人道的?可哀想?ごもっともだ。この学校の腐り具合はまだまだこんなもんじゃ無い。


ビシャァァァァァァ!


「あ、ごっめ〜んwww!手が滑っちゃった~~www」


「うわ〜◼️◼️◼️ひっど〜〜www。折角一人寂しく弁当食べてたのに可哀想だよ~~www。」


「大丈夫だって〜wwww◼️◼️は我らの“トイレの女神様”何だから許してくれるって〜〜www」


…皆さん、ここまで見て信じられるだろうか?この学校未成年の闇の掃き溜めは、世間からは名門校上部だけは優秀な場所として高い評価を受けているのだ。そんな混沌を破壊し、新たな秩序を敷こうとする異端者がいた。


ー ??? ー


プルルルルル プルルルル


「……はい。」


『こっちの準備は出来たが……大丈夫か?』


「…はい、大丈夫です。」


『…そうか……、君の、正しいと思った事をしなさい。』


「……ありがとうございます。」




ー 明間高校 体育館 ー


この日、明間高校は新たな学期の始まりを迎えていた。新一年生や新任教師が入ってくるこの時期は、果たして誰が自分たちの新しい玩具、又は下僕になるかどうかみんな品定めをする時期でもあった。


「新しい学期が始まるこの季節、皆さんと元気に迎えることが出来て、私はとても嬉しいです。」


長ったるく、実の無い校長の話など、ここにいる生徒は誰も聞いたりしていない。皆んな口々に私語を話したり、スマホをいじったりなど、始業式とはとても思えない空気感だった。


「では、今年より我が校に入ってきた新しい先生を紹介します。


3年A組を担当する、国語教師の岩谷先生。」


「はい、皆さん初めまして、岩谷です。今日は、皆さんとこうして会えて嬉しいです。よろしくお願いします!」


情熱あふれる女性の教師だが、生徒は誰一人として反応しなかった。岩谷は困惑していた。何せ全国でも有名な名門校の正体が、こんな学生社会のゴミの掃き溜めだったんだから。そして、次の先生の紹介に移った。


「えー、では次。3年C組の副担任を担当する、数学教師の宮野先生。」


「はい、えー皆さん、初めまして。数学を担当する宮野です。よろしくお願いします。」


落ち着いた印象だが、この学校で権力を握り、トップになる事を夢見る野心家だ。今の所、何も変化がないこの腐った空気を…


バン!!


突如として鳴り響いた体育館の扉を引く音によって、切り裂かれた。ドアの方向から現れたのは、真っ黒な冬物のコートを着ていた少年だった。少なくとも、ここにいる生徒と比べると年下に見えた。


「誰?あいつ?」


「俺らより年下だよな?」


「新入生?」


突如として現れたその少年に、体育館は騒然とした空気を纏っていた。


「校長、彼が例の………?」


副校長の場寺は校長に少年に関しての確認をした。その少年については学校側は把握しているようだった。そして、校長から生徒に伝えられた言葉は、衝撃そのものだった。


「え〜……彼は、3年C組の…新任の教師です。」


校長の言葉を聞いた生徒、そして事情を知らない教師は漠然とした。


「あいつが教師?」


「なんかのジョーク?」


「年下から教わるって、冗談でしょ?」


「弱そうだからすぐに辞めるって。」


(あの子が教師!?明らかに教員免許取れるような年齢じゃないのに…どうなってんの?この学校…。)


(ハァ〜〜〜!?あいつが俺の上司!?ふざけんなよ!あんな年下すぐに抜いて、俺がトップになってやる!!)


それぞれが疑念や怒り、不安など、外ではとても出せないような負の感情を、新任教師に向けていた。


「……朽舞仁です。よろしく。」


新任教師…朽舞は短く自己紹介を済ませると、新任教師たちが並んでいる列へと並んで行った。


「えーでは、この新しい教師と、生徒の皆さんと共に、新しい1年間を過ごしていきましょう!」


こうして、波乱の始業式は終わりを迎えた。果たしてこの未成年者の教師は、この学校地獄をさらに混沌に陥れる悪魔サタンなのか?それとも、新たな秩序のもと、新世界を創造していくイエスなのか?占い師ですら予測不能の新たな学校生活が、始まった。

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