第四章 とある詩人の答え 5
一方その頃の村長の家では───
「私は、彼女の話を聞き自分の浅はかさを認識させてもらいました!」
「英雄は、自らなるものじゃないからのう」
「では……英雄とはいったいなんなのですか?」
ナムラの答えに体格の良い男性が尋ねる。
「そうじゃな……。強いて言えば……英雄とは一面、つまり人の幻想なのじゃ」
「「幻想……ですか……?」」
「うむ、誰かを護るため、救うために武器を持ち……相手を殺したとしよう。
それで救われるのは、片方だけじゃ」
二人を見やりそして、静かな声で続きを語る。
「つまり、片方から見ると英雄かもしれないが、もう片方からじゃと、単なる人殺しじゃ」
「私もその結論を持ちました」
細身な男が 大きく頷き答える。
「人間は……自分の信じたくないものには、目を瞑る生き物じゃ」
そこで一息つきながら、目を軽く伏せ。
「悪しき行いをしたら、いずれ
一つ大きな呼吸をしてから、
「だかの、お主らが目指すモノ!願うモノ!それに迷いが生じた時、一度振り返ってこれまでを見つめ直したら新たな発見が出来ると思うのじゃ」
「「……」」
ナムラの言葉に二人は顔を見合せて黙りこみ、数秒の後に体格の良い男が尋ねた。
「お訊ねしたいのですがよろしいでしょうか?」
「……なんじゃ?」
「ナムラ村長は──?」
体格の良い男の質問は、単純だか難しい正解の無い質問。
ナムラは、目を瞑り『わしのはな……』と語りだす。
二人は、ナムラの回答に自分達の浅はかさ、感じながら聞いていた。
「あとは、お主らなりの答えを見付けることじゃな。そろそろ帰って来る頃じゃろうし」
と、締めくくる。
数秒後、『チリーン、チリーン』と鳴り出した。
「おぉ、良いときに帰ってきたか。どれ、出迎えに行くかの」
『ヨイショ』と言いながら、立ち上がり玄関へと向かって行く。
残された二人は、その背中を見送りながら、無言で答えを考えていた。
続く
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