Small Nameless Story~名も無き小さな物語~

篝火

第一章 

第一章 始まりの物語

 闇夜の中また一人、命を散らせる。

「ごめんなさい…来世では、良い人生を送ってください」

 そんな呟き声が、風と共に消えた。


 ‐‐‐‐‐‐‐‐


 十年前────


 「ねぇ、私達どうなるんだろう?」

 「さぁ、殺されるか、実験動物にされるか、後は、遠くに売られるか……」

 茶髪の少女の問いかけに黒髪の少年が冷めた声で答える。


 周りを見渡すと、他に3人の子供達がいる。

 みんな拐われた子達だ。

 ふいに、黒髪の少年が小さく呟く。

 「こうしていても……何も変わらない、待ってるだけじゃダメなんだ」

 「え!……今、何か言った?」

 「何でもないよ」

 茶髪の少女の問いに黒髪の少年がそれっきり、黙りこんだ。


 (どうすれば、良い?捕まって三日目……明日はどうなるかわからない)

 黒髪の少年ロキは、柵の向こうの星を見ながら焦る気持ちを無理やり落ち着かせるが、時間が無慈悲に過ぎていく。


                続く


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