第26話
平穏無事
いつまでもは
続かない
熊を狩り倒したということに驚いた。
家を一瞬で組みたてたことにも驚いた。
朝が来れば夜がくる、夜が来れば朝も来る。
そうやって月日は流れてく。
かれこれ5年がたった頃、ミラは1人で狩りに出た。
その日はカナとルナの誕生日だった。
「誕生日って、なに?」
そんな行事も考えもなかったので純粋に聞いた。
「もうかれこれ5年だよ?少なくても1人1回以上は来てるじゃん」
カナが呆れて言う、しかも本日の主役だ。
「毎回来てもあまり実感がなくて…」
ミラに誕生日なんてものはない。
いやあるのかもしれないけれど人と違うと、自分で線引きをしてしまっていた。
だから今までも理解が出来なかった。
「なんかご飯いっぱい食べたりお祝いしたりする日だよ!」
ミアは元気いっぱい優しく教える、まあもうこれも何回目だろうな、と内心は思っていたりいなかったり。
しまった、そういえばそんな日があったようななかったような、思い当たる節、あり。
「ちょっと、行ってくる」
それはそれはすごい速度で家から飛び出した。
「ありゃ、またかい?毎回毎回誰かの誕生日になれば忘れて、焦って、なにか狩りに飛び出していくのはもはや日常だねえ」
「こればかりは仕方ないよ、ミラもミラなりに何とかしようとしてくれているから、温かく見守ってあげよう」
「これを見るのも誕生日の楽しみ、恒例行事のようで飽きない」
タカは呆れず飽きれずこれを見るために早起きをするのが誕生日の決まり事。
「今年は何をとってくるかな?食べ物じゃなくてもいいんだけど」
もはや慣れて何をとるかで楽しむルナ。
のほほんとした空気が家の中を包む。
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