俺以外の人間全員異世界転生したんだが、取り残された俺はどうすればいいのか(1)
サネユカナイ
第1話
俺は朝起きると世界の異変に気付いた。スマホも使えないし、水もガスも出ない。なんならクーラーとかテレビもつかない。停電かな?と思ったが、1時間経っても回復しないのだ。そもそも停電してても、YouTubeが見れないのはおかしい。俺はYouTubeがないと死ぬ!一日どうやって生活すればいいんだろうか。暇だから外に出て行こうと思ったが、ここでもう一つの異変に気付く。人が、いない。車も止まったままだ。東京に限ってそんなことはあるはずない。いや、あってはならない。きっと何かあったんだ!それくらいしかいえなかった。とにかく、スーパーへ、買い出しに行った。案の定誰もいなかった。入り口を割って入り、メロンパンと、いちごミルクを取って、代金をカウンターの上に置いた。やった後で気付いた。まだ人が来てないだけで、来ないとは限らない。やってしまった。ガラスも割って、もう取り返しがつかない。でも、防犯カメラも止まっているようだ。
本当に何があったんだ?俺は昨日の行動を思い返してみた。
昨日は休日だったので、部屋でゴロゴロして、適当に遊んでた。テレビも見ず、珍しくネットも見なかった。夜19時くらいに、母親から電話があって…。あれだ!母は明日の準備をしとけと言ってた。なんか、同じ世界に行ければいいとか、気を落とさずに、とも言ってた。テキトーに聞き流してたけど、やっぱりいまこの世界に人間はいない。犬や猫もいないのか?ペットは一緒に連れていったのかもしれない。すると俺は本当に一人になってしまったんだ。電気もガスも水も、止めていったんだ!全員でやるから全人類がちゃんといるか、確認してる暇なんてなかったんだ!俺はハッとして、自分の家のポストに向かった。俺はこの2年間ずっとポストを見ていない。年賀状も溜まってるだろう。役所からの手紙や、政府からの手紙なんかも見てない。きっと政府から手紙が来てるはずだ。なんて書いてある?なに…?て…ん…?転生…。転生!?!?あ〜終わった。俺以外の人間全員転生したんだわこれ。テレビもネットも見ず、手紙も読んでいなかったからだ、それでもおかしい。そんな大事なこと、なんで伝え方がこんなにテキトーなんだ?普通全員が転生できるように、もっと確認すべきだろ。疑問ばかりが募った。とにかく、メロンパンとイチゴミルクについては大丈夫みたいだから、そのまま食べた。これから必要なのは電気、それがダメなら原始的な生活をせざるを得ない。それに、他の人間も少しは残ってるかもしれない。アフリカとかの発展途上国とか、戦争中の国とか、とにかく、これから生きていくためにちゃんと備えていかなければならない。父さんがいつも言っていた。予想外のことが起きても落ち込むな、生きるために精一杯のことをし、自分から死んでいく気持ちで生きろ!!!!と、よくわからなかったが、俺がいま、落ち込んでないのは、小さい頃からその経験を積まされてきたからだと思う。俺はまず、自分のように取り残されたやつを探して、歩き出した。まず、駅に向かった。政府は、携帯を持たないホームレスにとくに念入りにこのことを伝えただろうが、日本のすべてのホームレスに伝えきれるとは思えない。きっと1人くらい残ってるはずだ。俺は、いつもホームレスが寝泊まりしてるところを見に行った。すると、口を開けて唖然とする人が立っていた。やったぁぁぁぁ!!!俺以外にも人がいる!しかし、どこか見覚えがあると思い、下を向き、こちらに気付いてないホームレスに近づいた。「え?先生?長岡先生?」「中島くん?中島くんじゃないか!!」彼は、去年クビになって家を無くした、俺の旧担任。共通の趣味をもち、意気投合したため、休日にプライベートで会うこともあった、お世話になった先生だ。「先生、今世界は、」「ああ、俺もさっき気付いた、」「昨日中に見るようにと渡された、DVD今日になって初めて見たんだ!」「DVDなんて、ホームレスの先生がどうやって見るんですか?」俺はストレートに聞いた。「お、おい。少しはきー使えよ…。政府が用意してくれたんだ。きっと、最後の最後に税金をすべて使ったんだろうな。」それにしてもおかしい、何故政府はこんなはちゃめちゃなやり方をしてるんだ?全員に伝わりきってないとダメだろ?「中島くん、転生した理由、わかったかも。」「え?」長岡先生は遠くをみつめていた、視線の先を確認するかのように、俺は振り向いた。「う、うわーーーー!!」俺たちは同時に叫んだ。そこには、明らかにこの世のものではない、恐ろしい生物が立っていたのだ!!タコのような触覚が生えていて、上半身は、カマキリのような形をしていた。駅の最上階までとどくくらい、巨大で、ぎぃぃぃぃと、唸っている。俺たちの後ろは壁、逃げることは出来ない。「ど、どうしよう。俺たち食われる?」長岡先生が、顔を真っ青にし、大量の汗をかきながら言った。その時だった。ドカァァァァァンと、聞いたこともない大きな音が鳴り響き、青い液体を吹き出して、その化け物が俺らの方に倒れた。「え、えぇぇぇぇ!」俺たちが大きな影に飲み込まれていくのを、追いかけてくる人影が見えた。「こ、ここ本当に異世界じゃないの?」俺たちは同時につぶやいた。カマキリは地面につくと同時に液体化し、すぐに蒸発して消えた。何があったんだ。何故倒れた。しかもなんか怪物現れるし。
そう思っていると、さっきの人が倒れる僕らに手を差し伸べてくれた。「大丈夫かい?」「すまないね、異世界の生物が現世に押しかけて来てしまって…。」「じゃ、じゃあ、人類はやっぱり、異世界に転生してしまったんですか?」俺は気になって口を開いた。「そうだ、全員が同じ世界に転生したわけではないが、君たちのような人を除いてはみな転生に成功していると聞いた。僕は、異世界でも珍しい、世界を行き来できるところに転生したから、まだ転生出来ていない人を連れ戻しに来たんだ。さぁ、僕についてきて、転生させてあげよう。」「…」「い、嫌です」やはり俺と先生は気が合う。嘘みたいに意見が一致した。「そもそも、全員が転生できたというのは本当なのか?」先生が叫ぶ。「何故政府は全員を連れて行かなかった」「何故こんな奇妙な生物のことを隠していたんだ!!」「それに、何故YouTubeが見れない!俺は見れないと死ぬ。」「先生…。あなたそれは元々でしょ?」「うるさい!!」すると男は下を向いてゆっくり答えた。「いけ…に…え」男の足元に水滴が落ちているのがわかった。泣いている。この世界に何があったんだろうか。「あの、名前は?」「斉藤春、政府の対応に満足できず、生贄の奴等を助けに来た。」「え?」俺も先生もちゃんと状況を理解してないのだろう。話についていけない。「あの、俺たちとコッチに残って、生贄の人たちを救いませんか?」「そうか、それがいいかもしれない…母ちゃんのためにも…」「?」こうして俺らは、生贄の秘密も知らないまま、この男と一緒に生贄を助けるたびに出るのだった。続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます