2、なぜchatGPTは「小説」が書けないか

2、なぜchatGPTは「小説」が書けないか その1

 まず初めに、こう考えたことはないでしょうか?



「chatGPTに小説を書かせたら、制作スピードが圧倒的に早くなるのではないか?」



 chatGPTの文章生成能力は凄まじいです。

 5分もしないうちにキャッチコピーを生成し、また思わぬアイデアを提供してくれます。これを小説に当てはめれば、数時間で長編小説を書くことができる、と考えるのは当然のことです。



 ですが、最初に断言しておきます。



 それは不可能です。



 なぜか。アルゴリズム的に今のchatGPTで小説を書くことは困難なのです。


 では、実際にchatGPTを使って「小説っぽいもの」を生成していきましょう。以下の実験はこちらの記事を参考にさせていただきました。

(https://colors.ambl.co.jp/how-to-write-nobel-by-chatgpt/)



 最初にどのような小説を書くか、考えましょう。

「現代に転生した哲学者プラトンがサブカルチャー文化にギャップを受ける」なんてどうでしょうか。

 プラトンおじいちゃんがオタク文化に腰を抜かす、という内容です。

 これを元に登場人物を生成します。



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Input(入力した文章):

あなたは優秀な小説家です。これから「現代に転生した哲学者プラトンがサブカルチャー文化にギャップを受ける」という小説を書いてもらいます。

字数は10000字程度の短編小説で、タイトルは「プラトン、現代に転生す」でお願いします。

では、まず登場人物を教えてください。


Output(出力された文章):

タイトル通り、「プラトン、現代に転生す」の登場人物は以下のようになります。

1. プラトン(本名:プラトン・アテナイオス):古代ギリシャの哲学者で、アカデメイアの創設者。現代に転生し、サブカルチャー文化に戸惑いながらも、自身の哲学を適用しようとする。

2. マックス・キャンベル:現代のオタクカルチャーの中心的存在で、アニメやマンガ、ビデオゲームに精通している。プラトンと出会い、彼を現代の文化に導入する役割を果たす。

3. エミリー・ジョンソン:哲学と心理学に興味を持つ大学生。プラトンの哲学と彼の現代の適用に興味を持ち、プラトンと議論することで物語に深みを加える。

4. ロジャー・スミス:現代の大手メディア企業のCEO。利益追求という現代の価値観に囚われているが、プラトンとの出会いが彼の人生観に影響を及ぼす。

これらの登場人物が織りなす物語で、「プラトン、現代に転生す」の世界が展開されていきます。どのような展開やエピソードをお望みですか?



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 なかなか面白そうな登場人物が出力されました。あれ? 実はchatGPTって小説書ける?


 実験を続けましょう。次はプロットを作ってもらいます。


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Input:

いいですね。

ではプロットを三幕構成で作ってください。


Output:

もちろんです。以下は「プラトン、現代に転生す」の三幕構成のプロットです。

第一幕: 錯綜する世界への適応

物語は、プラトンが現代に転生した瞬間から始まります。プラトンは驚きと戸惑いを感じながら、現代の都市の中で目を覚ます。彼の古代ギリシャ的な言葉遣いや服装は、周囲の人々とのコミュニケーションに困難をもたらす。

プラトンはマックス・キャンベルというオタクカルチャーに詳しい若者と出会う。マックスはプラトンを自分のアパートに招き、アニメやマンガ、ビデオゲームを通じて現代文化を紹介する。プラトンは初めての体験に戸惑いつつも、知識を深めていく中で、現代の文化に徐々に興味を持ち始める。

第二幕: 哲学と現代文化の交差

プラトンは大学で哲学を学び、そこでエミリー・ジョンソンと出会う。エミリーはプラトンの哲学に興味を持ち、彼との議論を通じて彼の古代の思想が現代の問題にどのように適用されるかを探求する。プラトンはエミリーの知識と鋭い思考に刺激を受け、自身の哲学を再考するきっかけとなる。

同時に、プラトンはロジャー・スミスという大企業のCEOとも出会う。ロジャーは利益最優先のビジネスモデルに固執するが、プラトンとの対話を通じて価値観の問題に向き合う必要性を感じるようになる。

第三幕: 現代の意義を見つけて

物語のクライマックスでは、プラトンはマックス、エミリー、ロジャーと共に、現代の価値観や文化に対する彼自身の哲学的な視点を結集させる場を設ける。彼らはディスカッションや対話を通じて、現代社会の課題や矛盾を浮き彫りにし、プラトンの古代の思想がどのように現代に影響を与えるかを模索する。

物語の結末では、プラトンと彼の新たな友人たちは、異なる時代や文化における智慧と価値観の共有の重要性を感じながら、互いに刺激を受けながら成長していく。プラトンは自身の哲学が現代社会においても有益であると確信し、新たな時代における使命を見出すのです。


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 おや? 当初考えていたアイデアと違うことを言い出していますね。


 僕は現代のオタク文化に腰を抜かすプラトンおじいちゃんが見たいのに、第一幕で「現代の文化に徐々に興味を持ち始める」と興味を抱いています。

 


 他も見ていきましょう。どうやら「三幕構成」を「章を3つにする」と勘違いしてしまっているようです(まあ、あながち間違いではないのですが……)。


 第二幕でプラトンは大学にいますね笑。しかも哲学を学んでいる。

 なるほど、ここで「自分の知識を教授の前で披露してコテンパンにやっつける」というチートものあるあるの展開が想像できそうですが……、

 どうもそうではないらしい。なんかエミリーと出会って自分を見つめ直している。しまいにはロジャー・スミスという利益優先の男を更生させている!?


 第三幕では何やら議論をして、最後は明日に向かって歩いていく的な終わり方になっています。


 ……。


 ま、まぁ、想定とは違いますが、次は本文を書いてもらいましょう。

(続く)

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