意味深な森さんと意味ありげな恋をする
@rereretyutyuchiko
第1話 森さんは怖い?
問 恋愛に意味はあるのか?
A ない
なぜなら恋愛に意味を求めてしまえばその行為は相手への押し付けになってしまうからだ。
例えば自分に好きな人が出来たとして「え、今日暇かな?帰りミスドとか寄ってかない?」みたいな好意丸出しの誘い方をしたとして、もし相手が彼氏持ちだったとしたら、その行為は相手へのただの迷惑である!
これは決して、決して経験談ではないが俺は思うのだ、相手の迷惑になるくらいなら責めもせず告白もせずただなんとなしの関係を築き続けることが最善なのだと。決して体験談では無いのだが!
まぁどちらかというと恋愛に意味はないということではなく、恋愛とは意味を肉付けさせていくものだと思うのだ。行動しなければ意味を見出せない、だが行動を起こせば相手に迷惑がかかるかもしれない、ならば恋に意味などいらないというのが俺の意見だ。
別に俺は恋をしているわけではないのだが、だが!!少し気になっている女子はいる。
その相手は隣の席の森さんだ。
すらっとした細身のスタイルに艶やかで引き込まれそうなほど黒い髪、まるっとして可愛らしい茶色の瞳は見るもの全てを魅了するのではないかと錯覚するほどだ、目鼻立ちははっきりしているし肌はまるで水のように透き通っている。
まぁなんだ総じて言うと彼女はこのクラスのマドンナというやつだ。
「森さん森さん、今日の放課後カラオケ行かない?」
キンタマを抑えたような顔をしたモブ男が今日も森さんに話しかける。
「あ、ごめんなさい、今日は優香と買い物しに行くんだー」
「あ、そうなんだ·····」
残念だったなキンタマ、森さんとそう簡単に買い物に行けると思うなよ。
「そ、それでどこら辺に買い物しに行くの?」
こ、こいつまだ食い下がる気か!
「あ〜それは」
ダメだ森さん言っちゃダメだ、それを言ってしまったらそのキンタマはきっと森さんが行く場所に行って「あれ?ぐーぜんだね、森さん(キラッ)」とか言ってなんやかんやで一緒に買い物しちゃう奴だって!
そ、それだけはなんかヤダ!
「ここから電車で10分の所にあるイオンだよな」
しまった、つい口を挟んでしまった。
「え?」
森さんが可愛らしい瞳をまん丸にして俺を見つめた。
「なんだよ、村田ー急に口挟んで来んなよ」
「い、いいじゃないか別に」
「よくねぇよ、今は森さんに聞いてんだからよぉ、まぁいいやそれで?森さんは本当はどこに行くの?」
「え、あぁ、えーと」
すぐに俺に興味をなくしたらしいキンタマは森さんと向き合う。キンタマの圧が強いせいか森さんはたじろいでいる。
「おっと、キンタマ君そこまでにするといい」
そんなとき現れたのは長い髪をポニーテールにまとめあげた気が強そうな女が現れる。
「んだよ優香お前に用はねぇよ、あとキンタマと呼ぶな俺の頭は坊主なだけだ」
「帰るべきはあんたの方だよ、ほら授業始まるぜ」
「やべ」
慌てたように振り返り、教室のドアを開けた先生の姿を瞳に移す、するとすぐに自分の席に戻っていくキンタマ。いい気味だ、今回は許してやろう。
「おい、何得意げに笑ってんだよ、追い払ったのは私だぞ」
野蛮人、十勝優香に頭をわしづかみにされた。そのあまりに力強い手の力に頬の肉が引っ張られる。
「………」
「黙るな」
「………その手を離した方がいい、俺は昨日頭を洗っていないからな」
「うわっきたねっ!!」
すぐに手を離した野蛮人は自分の手のにおいをかぐ。どうやらかなり気にしているようだった。
「早く席に座れよ十勝ー」
「な、くっ後で見てろよ」
ふっ戯言にしか聞こえないな。十勝は森さんの後ろの席に座る。
「えーではここはこうであるからにして」
すると流れるように授業が始まった。まぁ授業が始まってしまえばあの野蛮人も黙るしかないだろう、というかキンタマよお前森さんのこと見過ぎだろ、ばれないようにちらちら見てるつもりだろうが意外とわかるからな。お前、前の席なんだからちょっとは落ち着け。
では当の本人はあのキンタマにどんな反応を………と
じーっと俺の方をまじまじ見つめる森さんの姿がそこにはあった。
「え」
なになになに、こわ、えーこわ。見ちゃってるよ、森さんが瞳孔がん開きでこっち見ちゃってるんですけど、俺どうしたらいいの?
今の状況はそうだな、まさに蛇に睨まれたカエルというものだな。(最近覚えた)
とりあえず前を向くか。うんキンタマ、お前見てる方が安心するわ。というか頬を染めるな、それに需要ねーから。
「あの、これ………」
「え、あ、うん」
すると森さんは俺の机の上に一枚の紙を流してきた。なんの変哲もないただのノートの切れ端、その紙のど真ん中にはある文字列が書かれていた。
”君はその真意に気付けない”
なんだこれ、どういう………。わけがわからず森さんの方を見ても戸惑うようにわちゃわちゃと何かを書いているだけだ、あ、消しゴム折れた。
すると、顔を赤らめながらもう一枚の紙を俺の机に流してきた。
その紙もさっきと同じノートの切れ端のものだったが中に書かれているものは違った。
”どうでしょうか?”
何が!?何がどうでしょうなの?わ、わからない、わからなすぎる。森さん、あなたはこの紙にどんな意味を込めたの?
この日から森さんと俺のちょっとおかしな日常が始まることを俺はまだ知らなかった。
今日の意味深ワード”君はその真意に気付けない”
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