初めての彼女が特異すぎて普通の彼女が分からない

シファニクス

プロローグ

普通の彼女が出来ました

「好きです! 付き合ってください!」

「……え?」


 頬を暮れる夕陽よりも赤く染め、上擦った声でそんなことを言った彼女の真意を俺は測れずにいた。小さく頭を下げて懇願するようなその姿勢。付き合ってください、って言葉の意味くらい俺にもわかる。

 それでも確かめなければいけないことがある。


「それって要するに、俺に、君の彼氏になって欲しいってこと、でいいんだよね?」

「ひゃ、ひゃいっ!」


 さっきから声が上擦ってるけど何をそんなに緊張しているのだろうか。でもそうか。俺に彼氏になって欲しいというのなら断るわけにはいかないよな。でも――


「恋人って、女がそうだと思ったらその時点でそうなんじゃないの?」

「……え? えっ? そ、そんなこと、無いと思いますけど」

「んん? 違うの? 元カノにはそうだって言われてたんだけど……」

「は、はぁ……」


 彼女の微妙な反応を見るにどうやらそうではないのだろう。まああいつの言うことはいい加減なところが多いし、そもそも個人差があるものなのかもしれない。


「そ、それで! オーケー、ってこと、ですか!?」

「そりゃあもちろん。男に拒否権は無いからね」

「え?」

「え? 違うの?」


 俺、樋口頼斗ひぐちらいとに新しい彼女が出来ました。

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