ガールズテイナー

小鳥遊 マロ

第1話 アイドルとは

君たちは「アイドル」という存在を知っているだろうか。そう少女たちが一度は憧れた──あの「アイドル」である。

それは熱狂的なファンを抱え、歌って踊るパフォーマーであり、若いアーティストである。

時には、親しみや尊敬、憧憬などさまざまな感情を抱えながらアイドルを演じるその人をまなざすファンに笑顔を振りまく存在でもある。


ここはあなたたちが居る世界とは異なる世界。


──異世界


現実世界とは違うこの異世界にもアイドルが存在する。彼女たちもまたこの競争が激しいアイドル業界で一流のアイドルになるために日々努力し、研鑽けんさんを積み蹴落し合っている。

彼女たちが目指すのはただ一つ、アイドルの頂点である「ガールズクラウン」である。


そして、現在王都のライブ会場ではたくさんのファンが、またはアイドルをひと目見たいと立ち寄る大勢の人々が居た。大人、子供、年寄り、盗賊、暗殺者、聖女、貴族、王族、奴隷、エルフ、獣人、魔族など身分や職業、人種などを問わず凄まじい人気を博すアイドルグループがあった。


「今日も、私たちを見に来てくれてありがとう!」

「それじゃあ、本日ラスト曲いっくよー!」

「みんなも一緒に掛け声よろしくねーっ!」

「「「「おーーーーッ!!」」」」


そう彼女たちこそ、今この世界で人気急上昇中のアイドルグループ──


「それでは、聞いてください! 私たちのデビュー曲」


「「「「「カントリーマインです!!」」」」」


「「「「「うおおおおおおお!!」」」」」


   【Star☆Mixカラーズ】であるっ!!


   ♪ 〜 ♬ 〜 ♪ 〜 ♬ 〜 ♪


「みんなー、今日もありがとー!」

「また、ライブに来てくださいねー!」

「うちらはいつでも待ってるからねー! 絶対だよー!」


「もちろんだぁぁぁああああ!! 【ノノ】ちゃーん!」

「また来るからなー! 【モモ】ちゃーんっ!」

「ずっと推すからねぇー! 【ネネ】ちゃーん!」


「ふふっ、ありがとー」

「ありがとうございまーす!」

「ありがとねー!」


「グハッ!」

「もうダメ♡」

「可愛すぎる♡」


三人からのウインクで倒れるファンが続出する。


「【シオリ】ちゃーん! 笑ってー!」


「何で貴様らのために笑わないとならんのだ。気色悪いっ!」


「さ、最高ですぅ〜♡」

「あ、ありがとうございました〜♡」


「もうシオリちゃんダメじゃないですか〜!」

「【コトリ】、しかしだな──」

「しかしも何もありませんよ〜。私たちはアイドル何ですから──ですよ」


「や、ヤバい……」

「コトリちゃんの……」

「『メッ!』は……反則でしょ♡」


その後彼女たちの可愛さに倒れるファンが増えてしまい、王都救護隊が出動することになった。因みに余談だが国王陛下、その他重臣たちも鼻血を出してしまう事態になったのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る