第20話 新入生代表挨拶の暗号(15)

「解けた……」

 本当に解けちまった。

 解読した英文を呆然と眺めて、後から実感が湧いてくる。

「すげえ……!」

「やったわね」

 オレは真紀と顔を見合わせて達成感を分かち合う。


 電車はゆっくりとスピードを落とす。

 興奮が段々と安堵に取って代わる感じがして、ほっと息をついた。


「これを日本語にすると、深月の挨拶になるんだ。英語のままだと、ところどころ知らない単語があって意味が取れないとこがある。真紀はこれを読んでどう思う?」


 真紀は解読した英文から目を離さず、見惚れたように何度も繰り返し読みながら答える。


「とても綺麗な英文よ。文法的に正しいというだけじゃなくて情緒がある。春の季節と新入生の気持ちが伝わるような文章だわ。こんな英文が書けるなんて、静月先輩はすごいと思う」


「そういう感じなんだ。オレはまだ、そういうところまで感じ取れないから、これがそういうふうに読める深月も真紀も、すごいと思うよ。さあ、もうすぐ駅につく。そろそろ二人を起こそう」


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