明菱高校のクアッド! 新入生代表挨拶の暗号

あしわらん

幼馴染四人組

第1話 MAISON DE QUADに隠された謎

 神木かみき深月みづきは、オレ達のことが大切。


 あいつは口に出してそんなこと言わないけど、でも、そうなんだ。あいつに興味を持つ奴は大勢いるのに、あいつが周りに興味を持とうとしないのは、つまり、そういうことなんだ。


 オレ達、幼馴染の四人は、MAISONメゾン DE QUADクアッド って名前の四階建てのマンションに住んでいる。深月は403号室、真紀まきが角部屋の306号室、千夏ちなつが201号室、オレが104号室。


「お前ら、どっか他の部屋が空いても、そっちに引っ越すなよ? 特に常葉ときわ


 子供の頃から深月は、そんな意味不明なことを言っていた。同じマンションの別の部屋に引っ越す意味はオレには分からなかったけど、親に聞いたら、「一階は虫が入るし、外からの視線が気になるから、他の部屋が空いたら移るのも悪くないわね」と言っていて、幼いながらにナルホドと思った記憶がある。


 母さんはそのあと続けて、「でも、引っ越しのことを考えると憂鬱になるから、このままでいいわ」と言っていた。それを深月に伝えると、小学生にしてはクールな顔をふと緩ませて、「よかった」と言った。


 何がよかったのか、高校生になっても、オレにはわからないまま。あいつに聞いても、「崩れるから」としか言わない。これだからコミュ力不足の天才っつーのは。


 他にも色々、面倒を起こすし、世話もかかる。


 でも、憎めない奴。


 神木深月は、ざっくり言えばそんな奴で、オレの親友。


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