辿り着きし神髄
そうざ
Get to the Essence
「作家の
今、大振りな
人間国宝と
インタビュアーは畏まり、神妙に問い掛ける。
「遂に神髄を極められたのでございますね?」
「左様……恥ずかしながら
洋の東西を問わず数多の賞賛を勝ち得、既に不動の地位を築いた老仏師である。その彼が、老いて尚
「いざ……」
鑿と木槌との鬼気迫る躍動は瞬く間に木肌を削ぎ落とし、年輪の核へと微塵の
「老いて、行き着く処は……
大小様々な木片が散華の如く辺り一面に降り積もると、つい先刻まで武骨な木塊に過ぎなかった伐り株が真の姿を
それは、天を衝かんばかりに凛として屹立する
精も根も尽き果てた様子の老仏師は、息も絶え絶えに満足気に言う。
「題して『往時の夢』。画竜点睛には焼き印を用いて〝アタリ〟と記す」
インタビュアーは飽くまでも畏まり、唯々神妙に問い掛ける。
「〝アタリ〟は……彫らないんですね」
辿り着きし神髄 そうざ @so-za
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