人間周遊旅行
つむぎ
第1話 ひま子
本日わたくしひま子は、仕事を辞めました。理由は簡単です。宝くじが当たりました。金額は想像にお任せします!
さあ!しばらくは、47都道府県でも旅をして美味しいものを食べまくるで〜!
「おーい。そこの浮かれポンチ。」
「えっ?」
ひま子の肩には、小さなおじさんが座っていた。
「自分の力で宝くじ当てたと思ったか?」
何や。夢か。せっかく運が回ってきたと思ったのに。でも何やねん!この変な夢。
「ひま子さん、あんたにこれから人間周遊旅行してもらうわ。」
この小さなおじさんとの出会いから、私の人間周遊旅行が始まった。今現在も、現実で起こっている事なのか、私のおかしな夢なのか、どちらかはわからない。
人間周遊旅行とは何かというと、毎日違う人の中に自分が入ってしまうのだ。
「勘違いせんといてほしいのが、その人になれるわけでは無いねん。」
「それ、何がおもろいん?せめて他人の身体思い通りに使えるようにしてよ。」
「無理。でも、胃だけは同化する事が出来る。すなわち、一緒にお腹いっぱいなれるって事や。」
「私が嫌いなものやったら、テンション上がらんやん。」
「ええ歳して好き嫌いするなよ。」
小さなおじさんは私の肩の上で、ナッツを頬張りながら、名前がズラリと並んだリストのようなものを見ながら、どこに入ってもらおうかな〜と言わんばかりに、私の顔とリストを照らし合わせていた。ほのかに香るナッツの香ばしい匂いで、お腹が空いた。私はくるみ割り人形というバレエを見た時も、あの変なおじさん人形が割ってる、胡桃美味しそうやなぁ。と多分皆んなと違う視点で見ていた。
「よし!初めはこの人や。」
おじさんがリストの名前を指差すと、私はよし子の中に入っていた。
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