彼氏

ああああ

彼氏

彼氏ができた

人生の初めての彼氏で正直緊張しっぱなしだ

彼はクールで颯爽と私をエスコートしてくれて

あまり喋らないけど私の前では優しく接してくれて

これ以上ないほど外見も内面もイケメンなのだ

そんな彼氏と初デート、メイクとかにも挑戦して

いつもより一層おしゃれして彼の元に会いに行った

待ち合わせ場所に着くと身長はあまり高くないものの

何か異様なオーラを放ったいつもの彼が待っていた

「じゃあ行こっか」

そう言って平然と恋人繋ぎをしてくれた

普段はそんなこともしないけど彼も緊張してどうすればいいか

分からないんだろう、そういうとこも好きだ

デートの定石といえば映画とか遊園地なのかもしれないが

お互いよくわかってないので近くのショッピングモールに出掛けて

服を買いに行ったりする

お互いがお互いのコーデをどう決めたらいいのか分からず

「かわいいな」とか「カッコいいじゃん」しか言えず結局

何も買わなかったがそれでも楽しかった

そんな彼との他愛もない時間が好きだった

昼ごはんは特に行きたいとこもなかったので適当にフードコートで

好きなものを食べることにした

私がオムライスを前に待っていると彼を見つけた

彼はキョロキョロと私がいる席を探していた

普段クールでボロを出さない彼が私といると気が緩むのか

そんな彼の意外な一面が可愛くてもっと好きになった

そんなこんなで1日を過ごしているとあっという間に夜になった

私たちは大きめの公園のベンチに腰掛けていた

すると彼は何か言いたげにうずうずしていた

「どうしたの?」

私の問いかけに彼から返答はない

すると彼は突然立ち上がって一目散に池に向かって走り出し

そのまま冷たい水の中へとダイブした

私は慌てて追いかける、池の淵にただ呆然と立ち尽くす

彼はその池で悠々と平泳ぎを始めている

「蛙か…」私は絞り出すようなため息と共にそう呟いた

私がまともな人間と付き合えるのはいつなんだろう

出会う人間全てが蛙だった、人間の見た目をしていて中身は蛙

今回の彼は人語もある程度喋れたから期待してたのに…

落胆しつつまともな人間に出会うためなら諦めたりなんかしない

帰りにハーゲンダッツでも買おう

そう考え、飛び跳ねるようにして帰路についた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼氏 ああああ @mizoken

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る