第4話パンと見世物

会社で僕はおばちゃんのアイドルとなっている。

目が悪いので(白内障)、サングラスをかけて仕事をしている。

たまに目が疲れてサングラスを外すと、僕の目を見たおばちゃんは、僕の目がつぶらな瞳に見えてかわいいらしい。

それで、昼休み後の眠たい時間帯に、たまたまサングラスを外して、欠伸をするところを見ると胸がキュンキュンするらしい。

僕は悪人顔と評判なのだが。

そのおばちゃんだけではない。


朝、娘さんが会社まで車で運転していたおばちゃんが、その娘が僕を見て、サングラスをしてタバコを吸っているので、

「あの、イカツイ顔の方はどんな人?」

と、聞いてきたらしく、

「笑顔がキュートな人だよ」

と、答えたらしい。

おばちゃんたちは、すでに結婚しているが、歳を取ると、痩せた人も、太った人でも中身で見るようになるから、僕が臨月のようなお腹をしていても気にならないと言った。

しかし、僕のお腹は臨月期の妊婦さんに見えてるんだなと、ちょっとショック。

まぁいい。

僕も結婚している。若い人には好かれ無くても、おばちゃん達のアイドルになればそれで良いじゃないか。

僕は、中高年のアイドルと言う事で……。ん?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る