⑤ 術前検査
手術前には、手術のための検査をしなければなりません。
どの順番で検査をしたかは覚えていませんが、何の検査をしたのかは覚えています。順不同で書いていきますね。
ちなみにやはり小腸穿孔(小腸に穴が開いていること)は重症らしく、移動はすべて車いすでした。車いす、めちゃくちゃいいですよ。こんな楽な移動方法があっていいのか、と感動しました。もっとも、絶食を開始した僕はだいぶ体調が回復していたので、別に車いすじゃなくてもいいのになあ、なんて思っていたのは覚えています。
まず造影剤を使ったCT検査。通常のCT検査よりもよりはっきりと患部を造影するため、造影剤(正式名称はわかりませんし調べてません)を身体の中にぶちこんで、CTの機械のあの輪っかをくぐるってやつですね。
造影剤は少し太めの針で腕から入れます。ちなみに僕はこの検査を今までで5回くらい経験してますが、嫌いではありません。なぜかって、造影剤が身体を駆け巡る感覚が意外と癖になるからですね。検査技師の方の「造影剤入りまーす」みたいな合図で、まず頭がカッと熱くなる。そしてそのあと全身がカーッと熱くなって、そして次におしっこを漏らしたような感覚になるんですよ。ほら、大人にもなっておしっこを漏らすなんて経験できるわけないじゃないですか。だからおすすめです。
ちなみにこの検査は造影剤でなんかやばくなる可能性がゼロじゃないから同意書を書かされます。
術前検査として、肺活量を測るやつもしました。なんかそれなりにでかい機械から伸びたホースみたいなやつに息を吹き込めみたいな感じのあれです。全身麻酔をやるときに検査するそうですね。
思いっきり息を吐き続ける検査をした際に、看護師さんに「は?」みたいな反応をされました。もう一回やってくれって言われたのでもう一回やったら、「やっぱり測り間違いじゃないですね」みたいな反応をされました。曰く、僕の肺活量はプロアスリート並だと。嘘つけって思いました。たしかに僕はずっと水泳をやってましたけど、九州高校総体にフリーリレーのメンバーでギリギリ出場できたレベルの選手です。しかも持久力のなさが特徴で「スタート後12.5メートルだけ県内トップクラス」とバカにされるような選手だったので、マジで嘘つけって思いました。まあ褒められて悪い思いはしなかったですけど。
あとトレッドミルもやりましたね。ランニングマシーンを走るあれです。心拍数の検査かなんかでしたかね。
「なんか生まれる前か生まれたあとか、心拍数がおかしかったことがあるって母親に言われたことがある」みたいなあやふやな記憶で語ったらこの検査をさせられました。
移動は車椅子ですよ? なのにランニングマシーンをけっこう本気で走らされるのは矛盾してないか? って思いました。これに関してはマジで余計なことを言ってしまったと後悔しました。
ちなみに事の真相なんですが、僕の心拍数がおかしかったのは産まれる前、母のお腹の中にいたときのことでした。なぜ心拍数がおかしかったのか、それは母の胎内で僕のへその緒が固結びになっていたからだそうです。それを聞いたときの率直な感想は、「なんで僕ってば無事に生まれてきたん?」ですね。僕が産まれたとき、医者も「生きてるのが奇跡」くらいのことを母に言ったらしいです。マジで今ちゃんと生きることができててよかった。
そしてもうひとつ。術前検査だけでなく、これまで様々な検査を受診してきましたが、この検査だけは頼まれてももう二度とやりたくありません。
それは膀胱内視鏡です。
内視鏡って言葉に馴染みがない人のために言葉を変えて言うと、膀胱カメラのことです。
文字通り、膀胱を内側からカメラで撮影するってやつですね。
どうやって撮影するかって? そんなの決まってるじゃないですか。尿道から膀胱へ向かってカメラを突っ込むんですよ。
妊婦さんが検査のときに座るような椅子に座らされて、カーテンで下半身を隠されて、そしてもう言っちゃいますけどち◯こからカメラを突っ込まれます。ほーら、その文字列を見ただけで痛くなってきたでしょ。
で、実際にカメラを突っ込まれたとき、今まで生きてきた中で一番情けない声で鳴きました。泣いたんじゃないんですよ、本当に鳴いたんですよ、文字で表現できないような鳴き声で。
検査が終わったあと、普通にち◯こから血が出てました。血が出るような検査をするんじゃないよマジで。
その膀胱カメラで撮影した膀胱の内側は、たしかに何物かに侵食されていました。それこそが炎症を起こし腫れ上がった尿膜管であり、膀胱は一部切除せざるをえない状況でした。
ちなみに膀胱を一部切除したことによる後遺症は、おしっこを我慢できる限界量が減るだとかなんだとか。でもそれも、膀胱はいずれ膨張するからさほど気にする必要はないとのことです。実際、ザ・バットマンもアバターWoWも問題なく劇場で鑑賞できたので、特に後遺症は残っていないといえるでしょうね。
僕はこれを読んでくださっているみなさんが膀胱カメラを経験することがないような人生を送ることを心の底から祈っております。
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