066

「彼も、その一日を繰り返したいと思ったんじゃないですか」

アオネは言った。

「繰り返し?」

女性は穏やかに聞き返す。

「そうね。私は繰り返せるのなら、何度でも、永遠に繰り返していたかったわ。彼もそう思っていたらいいのにと思う」

「朝が来ないんですよ。夏の午後から夜祭までの一日が繰り返しているんです」

女性は筆を置く。少し黙って絵を眺めてから口を開いた。

「あなたは繰り返しは嫌なのかしら」

「……」

わからない。

「朝が来れば繰り返しはきっと終わる。あなたがそれを望むなら、その時はそうしたらいいわ。私と彼の思い出に一生捕らえ続けておくわけにはいかないもの」

女性は描き上げたばかりの朝顔の絵をアオネに差し出した。

「あなたも繰り返しているんですか?」

女性は首を振る。

「そう見える?私はもう高校生じゃ通らないわ。私はここでずっと絵を描いていただけ。でも、あの町で彼がずっと繰り返してるような気はしていたわ」

アオネは絵を受け取った。

「ラムネの瓶をありがとう。もし、あなたが朝を望まないのなら、このラムネは取っておいたほうがいいと思うわ」


『朝顔の絵』を取得しました。Dの欄に『朝顔の絵』と記入してください。


アオネはバスに乗り、九触駅に戻り、そこから電車に乗って町に戻った。山道を歩いて家に戻る間、空はだんだん暗くなり、夜祭のぼんぼりが光っていた。


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