第17話 風評被害!

名ばかりの事業拡大を行って数か月が経った。


始めは無我夢中で仕事をこなす日々だったが、期間が経つにつれ、少しずつ周りや現在の状況を確認できるようになっていた。


そして、不安が頭をよぎる。


新規依頼が来ない。


関わりのある関係機関とは、日々やり取りがある。しかし、新規依頼は一向にない。


以前勤める会社では月に数名の新規依頼があった。ましてや昨今の超高齢化社会。


新規依頼は黙っていても来るはず。しかし、以来は全くといってない。


何か問題があるのか。考えても答えは出ない。


ある日思い切って関係機関の馴染みの方へ聞いてみた。


「新規依頼はありませんか?実は、全く依頼が来ないんですよ・・・」


「それは当たり前でしょう。あなたの会社はあの病院(倒産した医療法人)の息がかかった会社でしょう?計画倒産かしら?そんなところに依頼は回せないよ」


衝撃だった。そしてまったくの事実無根に驚愕するしかない。


私の会社はそんな根も葉もない噂をたれられ、仕事ができない状態となっていたのだ。


事実無根。濡れ衣。どうにかしなければ。


事実にない「噂」をどうにかしなければ前には進めない。全く関与のない内容を「弁明」して回った。


関係各所にまんべんなくその情報は回っているらしく、弁明は数か月続くこととなった。


そして、ある日、会社から少し離れた地域包括支援センターと打ち合わせを行った際に新規依頼について相談した。

※地域包括支援センターとは、要介護者や介護が必要となる方を支援する機関。


その担当者は物事をフラットにみて下さる方だった。現在の風評も知った上で快く新規依頼を下さった。


ようやく新規依頼を受けることができた。


そして、少しずつではあるが例の「噂」は聞こえなくなってきた。


                                       つづく


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