放課後の告白

ミンイチ

第1話

「僕と、付き合ってください!」


 委員会が終わった後にトイレに行って帰ろうとしていた。


 その時に下駄箱に近い教室から誰かが告白している声が聞こえてきた。


 見てはいけないとは思っていたが見たいという欲求が強くなり、自然とその教室へ足が向いてしまった。



 その教室は中高一貫生の2年生の教室だった。


 告白をしているのは履いているスリッパの色からして1年生だろう。


 そして告白を受けているのはこの学校の高等部の生徒会、その副会長だ。


 その副会長はとても美しい女性で、全校生徒の憧れの対象であった。


 告白をしている青年はそれなりのイケメンで、運動系の部活に入っているのだろうか、体は引き締まっていて日焼けした小麦色の肌をしている。


 青年は好きになった理由、副会長のいいところなどをいくつも挙げてどれだけ自分が副委員長のことが好きなのかを伝えようとしているが、当の副委員長は全く興味なさげに窓の方を見ている。


 何も反応がないのに必死な青年の姿は見るに耐えないので帰ろうとした時、副会長がこっちを見た。


「やっときたのかい。

 待っていたよ」


 まるで僕がここに来るのを知っていたのかのようにこちらに話しかけてきた。


「君が来ないから彼も無駄な努力をすることになったのだよ?」


 話しかけられたことに驚いて忘れていた。


 青年の方を見ると僕と同じく何も理解できていないようだった。


 僕は入学して2年の間に副会長と話したことは一度もないのになぜか知り合いであるかのように話しかけられ、彼としてもたまたまそこを通りかかっただけの僕に話しかけたようにしか見えず、僕も彼も今の状況を理解できていない。


「紹介しよう。

 この子こそが僕の彼氏だ。

 そうだろう?ねぇ?」


 突然そんなことを言われて否定しようとした瞬間、副会長の後ろに黒いモヤのようなものが見えた。


 そこからは無数の目がこちらを見ているかのように感じ、自分の中の何かが削られ、異物に置き換えれれていくように感じた。


「あア、僕が副かイ長の彼氏ダ」


 気がつくと口からはそう出ていた。


 なンデ僕は副会チョうが告白されテいたのニ嫉妬しnaかったのダろう。


 副会長ハ僕のなノに。


「さっきは彼氏はいないって言っていたじゃないですか!」


 青年ガ叫ぶ。


「ああ、あれは嘘だ。

 君がどれだけ私のことを思っているのかただ知りたくてね」


「なんで!なんでそんなことをしたんですか!」


「なぜ、と聞かれたらこう答えるしかないね」


 青年に近づく。


「君が私の僕としてふさわしいか、それが知りたかったからだよ」


 そう言うとさっきト同じ黒いモヤが現れタ。


 そこからはさッきのメは感じなかったが、周りノ空気が一気に変わった。


 青年は魂が抜けたよウな顔になリ、その場デぼーっとしてiる。


「君は今までと同じように生活してくれ。

 必要な時には指示を出すからね」


 そして、青年は去ッていった。


「ああ、やっと手に入れた。

 だけの君。

 これからよろしくね」


 副委員長は目を細くして、口を弓のヨうに吊り上げて笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

放課後の告白 ミンイチ @DoTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ