第3話

「お母ちゃん続き読んで」

「うん、いいよ、昨日の続きからね」

「うん」

「ここからかな。ゴン達は無事に宝を見つけた・・・え?何これ、きゃっ、」


文字を見るとたすけて、たすけて、たすけて、たすけてと赤色でかかれている。勿論、少年には読めなかった。突如お母ちゃんが居なくなった寂しさから泣きわめいた。


「お母ちゃん、お母ちゃん」


文字がその時蠢き、絵も同様に蠢きあっていた。

現実ではないはずの物語の世界が


ー七神の泉


ゴンとクルフは7種族全てに声をかけることに成功した。そういうお話のハズだった。


「ゴン、やったな」

「うん」

7種族が泉の祠に集まった。

彼らは皆、ゴンとクルフに呼ばれてきたのだ。

「よーし、これより儀式に移る」

ドワーフの長老が皆に伝え、それと同時に各々の種族の者が聖遺物を祠の台座に置く。

ゴンお前が置いてこい


いいの

あぁ、頑張ってくれたからな

うん、じゃあ

ゴンはドワーフの首飾りを受け取る。

おっと、その前に付けてみろ。

「え、いいの、大事なものなんでしょ」

「おうよ、付けてみろ」

「 んーーー」

「 馬鹿野郎!」

パチン、パチン、父ちゃんの往復ビンタが飛んだ。

「いた、いた、いた、いた」

「おりゃー」

最後のその勢いで1メートル位飛ばされる。

「いてー」

「お前の頭じゃ入らねだろうが」

「え、付けていいて」

「それは、ダイヤ・・」

「儂から話そう」

ドワーフの長老が前に出てきた。

「は!」

「それは、後ろにあるダイヤルを回せば、開く仕組みになっているじゃ、俗に言う機械仕掛けじゃ」

「ダイヤル?」

「どれ、どれ、ここをこうしてと」

そう言いながら器用に外してくれた。

「うむ、これでokじゃ」


「付けてみろ、ゴン」

「うん」

カチ、響きの良い機械音とともにゴンの首に装着された。


「おおー、何かすごい王族みたいだ」

「それもそうじゃよ、これは初代ドワーフの王が残した遺産だからの」

「へぇー、王様が居たんだ。この場所に」

「うむ、遠い遠い昔の話じゃがな」

そういうと昔話が語られた。

昔、昔、ドワーフ達がこの地にたどり着いていなかった頃の話じゃ。


さてと、儀式に移るとするかの。皆の衆よくぞ集まってくれた。今宵、神聖たる儀式を行うこととする。代表者は聖遺物を前に・・・

ゴン、行って来い。

よし、ゴンは首飾りを外し台座の前に立つ。

おっ、ゴン。よく、やったね。

パラソルさんが笑顔でこっち手を振っている。

えへへ。


さぁ、台座に聖遺物を置いとくれ

7つの聖遺物を台座に置くと、雲で隠れていた月の光が差し込んだ。


すると、台座と聖遺物が光出す。

どうなるんだろう。ゴンはウキウキだ。

あれ、何も起こらない?


そう思った矢先、声が聞えてきた。野太い声だ。

皆の衆、上じゃ。

長老の指した指の先にはなんと地図が浮かんでいたのだ。地図は独りでに喋りだしている。

「我は全てを統治するもの、世界を保管し管理するもの、貴様らの子孫がかつて魔神エムスゴルフを封印したさいにかけた神秘の魔力が今崩壊した。」

「何、ではお前は魔神を蘇らせる為にこれを仕組んだのか。」


「我は全てを統治するもの、かようなもののために力をかさん、七神の泉を奪うため


逃げろゴン

メルボルンの緊迫した言葉と同時に襲いかかる。



奇跡てなんだろうか? 運命てなんだろうか?そう思うことがよくある。


全てが消えていく。何もかもが、必死に走る。命の灯火が滝のように消える。重圧が背中を襲う。どうすればいいんだ、とにかく走った。

助けて、助けて。


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