第1話 腐女子は見つけてしまった話。
どうも。
……はい、そうです。皆さんお察しの通り、私は腐っています!
ある日の昼休み、教室にて。お弁当も食べ終わり、ぼーっとしていたときのこと。
クラスメイトの男の子が、目に飛び込んできた。
その瞬間、私、固まりました。
えっ? 待って? 笑顔可愛すぎん?
目元がくしゃっとなって目がなくなる感じとか、イラストみたいにきれいに笑った口になるとことか。全てが可愛く見えた。
背が高くて、顔が整ってて、バレーボール部の部長候補で、みんなに慕われてる、クラスのある男子。
私は彼を―――。
「圧倒的受け! 見つけちゃったの! 歓喜すぎる!」
そう。私は、三次元クラスの中心陽キャ男子を、受け、としか認識出来なくなったのだ!
あんなに男前成分が揃ってるのに。あんなに攻め要素が盛り盛りなのに!
「とりあえず落ち着け」
十分休み、スマホで自ジャンルのタイムライン警備をしていた
一応説明しますと、透香は私の仲間です。彼女も腐ってます。
私との基本ステータスの差としては、背丈とか運動能力は私の方がちょい上。だけど、勉強と顔面はずば抜けて透香に軍配が上がる。
そして、私はいつも、彼女のサラサラの茶髪が羨ましいと思ってる。
あと、基本優しいけど、たまに毒を吐くので注意。
「一旦スマホを置いていただきたい」
「そんな重大?」
「もちろん!」
私がそう言いきると、優しい優しい透香さんは、スマホを机に置いてくれました。
「あのね、心して聞いて欲しい」
「はあ」
おお、なんつう興味のなさ。でも良いもん。こんな話できるの透香くらいだし! 話しちゃうもんね!
「あのね……!
心配しないで。ちゃんと小声です。
「藍沢……
「そう!」
彼を見つけたのは、偶然だった。
私がたまたま席替えで、真ん中号車の一番後ろ、とクラス全体が良く見える位置になることができたからである。
いつもは、透香と一緒にご飯を食べているし、透香がいなければ他の友達と食べるんだけど。たまたまその日はみんな、欠席、部活の集まり、委員会エトセトラで私はぼっち弁当だった。これも、偶然の要因。
そして、食べ終わって暇なのでぼーっとしていたのです。その時だった。彼は光を放ち、私を惹き付けた。
彼は、新学期が始まってからこの一か月で見せたことのない、強力な笑顔を解き放ったのだ!
しかも、シチュエーションが可愛すぎて死んだ。ある野球部男子の坊主頭を彼が撫でている、という非常に尊き事態。何があってそういう感じになったのかは分からないが、とりあえずその状況、神すぎないか? そう思わん?
しかーし! ここまでだと、彼は完全に左である。私も、その日その時はそうだと思い込んでいた。
だが、違った! 全然違う!
彼、構ってちゃんタイプだ!
というのも、彼はボディタッチが多いのだ。
話しかけるとき、ゲームをするとき、ただそこにいるとき。など全ての場面でのボディタッチを確認した。
内容はこう。肩を掴む、手を掴む、腕を組む、……バックハグ! これは全て彼が男友達に向けた愛情表現である。というのを一週間観察して察知した。
これらの行動! 私は全て受け要素だと思います! どうですかね?!
というか! 彼のその時の顔はめっちゃ受け!
だから、藍沢くんは圧倒的受け!
と、運良く(彼にとっては運悪く)気付けた時から、彼は私の推しである。
「という訳なのです」
オタク特有の早口スキルを全開にし、あの日欠席していた透香に説明した。
「ふーん? 瑞穂に三次元の推しなんて珍しい」
お、透香さん、ちょっと興味出てきたっぽいな。
「でしょ? てか普通にBL考えずに見て欲しいっす。藍沢くんの笑ってるとこマジ可愛すぎて死だから」
「え、もしかしてガチ恋」
「なわけ」
「うん、だよね」
変なことを考えるでない。
彼は見る対象であって、見られたい対象ではないのだよ。
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