カタルシス終末少女症と幸福を謳う日々 ~君たちはどう生き、どう赦されるのか~

津舞庵カプチーノ

プロローグ『失楽園』

 夏と言えば、一体どんな印象を抱くのだろうか──。

 出会いは、あまりにも突然に。

 コンクリートの地面に反射した夏の鋭い日差しは、都市部に停滞をする。

 蝉の鳴き声が聞こえてくるが、この暑さの中歩いている人たちからすれば、本当にどうでも良い事みたい。

 その移ろいを、誰かが覚えている訳ではない。



「……──」



 そんな、人が死ねる程度の猛暑の中、学校の屋上と思われる場所に、がただ立っていた。

 熱中症だろうか。

 その少女の瞳に生気などはなく、立っているだけでも精一杯なその風貌は、まるで蜃気楼を思わせるものだった。

 しかし、熱中症だったら、さっさと学校内に入れば良い話なのだ。

 根本的な解決にはなっていないが、保健室などに行けば、氷など応急処置だって受けられる筈。そこで、救急車なり親御さんだってり待って、その後病院などに行けば良い話なのだ。



 ──だがもし、その少女がとしたら。



 少女は、そんな事をつゆ知らず、錆びかけている手すりに手を掛けた。

 この学校は丁度3階建て。いや、屋上も入れたら大体4階に相当するだろう。そこから見える景色は、辺りを見回せるほどに遠い。

 けれど、その周りに生えるビル群からすれば、3階も4階も然したる差ではない。現実を忘れそうになるほど遠い現実は、非現実存在を肯定するかのような思いだった。



 ──現実は、非現実へ。



 その日少女は、世界という舞台から飛び降りた──。



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 お疲れ様です。

 感想やレビューなどなど。お待ちしております。

 

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 更新頻度につきましては、ぼちぼちと挙げていくつもりです。(多分)

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