もらいもの
ドラコニア
第1話 序章―私の手記①―
タモツはいわゆるホラーコンテンツというものに目がない。ホラー映画鑑賞はもちろん、怪奇小説なんかはむさぼるように読むし、ホラーゲームも月何十本もプレイしている。彼の部屋に置いてあるテレビには心霊特番がこれまた何十本も撮り貯めしてある。心霊特番や動画サイトで紹介されている心霊スポットにも、毎週のように足を運んでいる。
いや、すべていたと過去形で表現したほうがいいのかもしれない。
タモツはホラーコンテンツに目が無かったものの、いわゆる怪異のようなものを信じていたかとい言うとそうでもない。
三重上タモツにとって、ホラーコンテンツに触れるということは、スリルを求めて遊園地なんかのお化け屋敷に入る感覚というよりかは、「そんな超常的な存在なんかいるはずがないだろう」というどこか冷笑的な態度に端を発するものだった。
しかしそんな彼の態度を変えうるであろ出来事があったらしい。
らしいといっても、タモツの口から直接聞いたわけではない。
というのもタモツは今、行方をくらませている。
ある日を境にぷっつり授業に来なくなったので、心配になってアパートを訪ねてみると、鍵は開いているが肝心のタモツの姿は無かった。
「しばらく奴からにげる必要がある」
そんな書置きと共に、私が今読んでいる日記代わりの大学ノートが置いてあるだけだった。
丁度私にも日記をつける習慣があるので、タモツの日記の内容をできるだけ正確にここに書き記してみたいと思う。
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