最強の男、転生した異世界にて闘気《オーラ》を得る ~アルスマキナの特異点~

登美丘 陸

プロローグ

 ─人類最強・新人類・進化の可能性・人外……。


 敬意と畏怖…或いは嫉妬を以て、男を形容する言葉は数知れず。

 しかし、それら全ての根底に在る共通認識は…“最強”の二文字は決して揺らぐことはない。




 人体に対する埒外の理解度。 


 男は天性の資質と、幾年月を費やす努力によって…人体を極限まで掌握することに成功した。

 …自意識を自立神経系にまで伸ばし…不随意筋までをも動かすして見せたのである。


 決して真似出来ない偉業。


 必然…。その人知を超えた肉体は男に数々の功名を与え、名状し難い名声をもたらした。



 『最強の男』の誕生である。




 …しかし、男が足を踏み入れたのは…正しく人類にとって未踏の領域。




 故に、これも…必然。


 彼の肉体への探究心は…人々に『人権』などという倫理規範を容易く踏み越えさせた。


 所詮は人間。


 “最強”という「個」は、「群れ」によって蹂躙される。



 しかし…。



 取り巻く因果は、未だ男を手放さない。




 ──異世界に変革を齎し、やがて『特異点』と呼ばれる男の運命が…別世界にて再び動き出す。








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