第五焼 ゴーレムの報せ
薪拾いをして戻ると、一足早く狩りを終えたレムが待っていた。
「少しだけ魔物が強くなっているような気がする」
「じゃあ今度から俺も手伝うよ」
「大丈夫。けど、長く居続けるのは危険かも」
レムは思案気に天井を見上げ、それから腰を下ろして洞窟奥への入り口を塞いだ。
「前にヤキトたちが元神殿の穢れを払ったときに、神殿の一部が崩れて下敷きになりそうになった少年を私とヤキトで助けたでしょ? 少年は元神殿に遊びに来るようになったの。少しずつ穢れが集まってきていることに気付いていたんだけど、少年が遊びに来てくれるのが嬉しくて来るなって言えなかった。でもある日突然ボス級の魔物が現れたの。私は全力で戦って勝ったんだけど、少年にケガを負わせちゃった」
レムは自分の肩と肘を抱いた。ところどころの欠けは、戦ったときに付いたのか。雰囲気が変わったように感じた要因はそれだったのだ。
「少年を村に送ったとき、村人に私がケガを負わせたんじゃないかって疑われた。少年がそれを否定してくれたのは嬉しかったけど、このままだとまた元神殿に来ちゃうと思った。だから私は魔物になったふりをして、二度と元神殿に近付かないように村人を脅したの」
悪者になってやったんだな。
「つまり、ここも元神殿みたいになってしまう可能性があるってことか」
「うん。魔物が強くなっているのは予兆なのかも」
「安心してくれ。もうすぐ仲間が魔王を倒す。そしたら穢れもなくなる。ここはそうなるまでの練習場所くらいにしか考えてないんだ」
俺がそう言うと、ほっとしたように息を吐いた。
「ヤキト!」
聞き覚えのある声が背中に浴びせられ、振り返る。
「エフィ?」
なんでここにいる。エフィの今にも泣きそうな顔を見たらそんな当たり前のことすら言えなかった。
「腹減ってるか?」
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