童子と俺の青春

パム

第1話 童子

超能力がありふれたこの世界で一人の青年と童子が出会う。


「男なら拳で語るしかねぇな?」


「最高な案じゃねぇかよ!」


「ハンデは何が必要だ亜弗?」


「アホ言う暇あるなら拳で語れ。」


青年とあやかしが拳で語り合っている。

どうしてこんな事になったか。

1時間ほど前に遡る。



あれはそう、入学式が終わって帰宅途中のときだ。


「何がみんな仲良くだよ。

反吐が出る。」


入学式が終わったあとの教室での先公の話に吐き気を催していた。

もともと自分の性格がネジ曲がっており、綺麗事などを嫌っているため単純に合わなかった。

更には、荒れた小、中学校生活を送っていたので、周りとのコミニケーションの取り方がいまいちわからず、下校時刻には見知った共に顔を見せることなく、周りと関わることなくそそくさと下校していて今になる。

ただ、このまま家に帰るのは癪だから少し寄り道をする。

俺はいつも時間つぶしをする公園に向かっていた。


20分ほど歩くと見慣れた公園が見えてきた。

いつものベンチに向かうとそこには童子と呼ばれるあやかしがいた。


あやかしとは、この世界に存在している摩訶不思議な者たちで眼の前にいる童子のような人形がいれば火の玉や水玉、動物の姿形をしたタイプと言った多種多様な奴らだ。

俺等人類は生涯において特例を除き一人1つのあやかしと契約をすることができる。

契約とはこちら側がなにか対価を支払うことによって魔法や自分にあった武器などをあやかしから与えられる。

いわゆるギブアンドテイクの関係だ。

一般人は基本的に小学生から中学1年生までには契約を終える。

なぜならば、中学1年生までは授業の一環としあやかしとの交流があるからだ。

そのため俺のように高校生になっても契約している童子がいないということはかなり珍しい部類に入る。

そのため今日の教室でも浮いていた。

周りはあやかしを連れているが俺は一人だったからだ。

自己紹介のときにその事をいうと周りの目が酷く気持ち悪かった。

だから他人とは関わりたくないんだ。


っとそういえば眼の前の童子は少し異質だ。

童子というのは子供の姿をしており人形の大元と言われるあやかし。

しかし、眼の前の童子は髪が白く変色しており、小さいが角が少し生えている。

そもそも野良のあやかしというの自体、珍しい。

あやかしの生まれる条件は完全には解明されてないもののある程度の予測が立てられる。

そのためあやかしが強大な力を得て脅威にならないようにと国が専門の組織を作ったぐらいの徹底さだ。

だからこその異質。

俺は警戒したがそいつは起きる気配がなく特に危険と感じなかった。

その為空いているベンチのスペースに座りカバンからシガレットを取り出す。

少し頭を使ったからか甘いものを食いたい気分だ。

そしてシガレットを食っていると


「人間、それうまいのか?」


と横から声をかけられるのであった。

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