第4.5話 最強の除霊師 【説明回】【筋肉視点】
メリーさんとキャッキャしてる由良さんを見て自分は少し離れてスマホを取りだしたっす。
電話をかける相手は決まっている。
「うす。首相。お久しぶりですね」
怪異討滅委員会は国家が直接運営する怪異に対する機関。
つまりそこの責任者である自分は首相とも繋がりがあるっす。
「筋肉くん、昨日の彼の勧誘には成功したようだね」
「うす。あれほどの人材には持てる財力は惜しみなく使いマッスル。それより首相」
自分は手に持っているコトリバコの件を首相に相談する事にしたっす。
「コトリバコ、しかもハッカイなんすけどこれどうしたらいいっすか?」
「いつも通り効果を弱めてくれたらいい」
「うす。了解しマッスル」
「ちなみにだが筋肉くん。君から見て拓也くんはどのレベルにあると思う?」
「拓也さんすか?バケモンすよあれは。今までに見たことの無い逸材っす」
自分はいわゆる"見える人"なんすよね。
小さな頃からお化けを見るのは当たり前だし怪異を見るのも当たり前。
視線を下げてコトリバコに目をやると見えるんすよね。
これに込められた……子供たちの霊。
あぁ、気持ち悪いっすね。
名前:コトリバコ【ハッカイ】
レベル:なし
危険度:☆☆☆☆
そして今拓也さんに憑いているものも見えるっす。
「あの人は巣食われてマッスル」
「ということは、接触禁止指定の怪異か」
「うす。どこで接触したのかは知らないっすけど間違いなく、寄生型の怪異【巣食うもの】がいマッスル。それも下手すれば、うん十年の付き合いっすね」
自分は少し笑ってからこう答えたっす。
「だから。彼は除霊師として最高の器っすね。現状日本が誇る除霊師で最強になれると思いマッスル。それだけ【巣食うもの】に巣食われるというのはアドバンテージになる」
そもそもの巣食うものの怪異としての序列が最高峰っす。
それに巣食われるとどうなるのか。
巣食われた本人も最高峰になりマッスル。
首相が口を開く。
「なるほどな。そういうことなら先程の言動も合点がいった。配信を見ていたが君は優しいよな相変わらず」
「そっすか?」
「怪異を助けてやったものな。あのメリーさんという怪異、そのまま新人くんに触れていたら消えていたのはあの怪異の方だろう?」
「そっすね」
怪異には序列がある。
異世界に出てくるモンスターと同じようにっす。
ドラゴンがSランクならゴブリンがEランク、なように。
そしてメリーさんはいいとこDランクくらいの怪異。
そして拓也さんの中にいる【巣食うもの】は推定SSSランク。
そのふたつが接触すれば。
間違いなくメリーさんは跡形もなく消えたっす。
自分があのときメリーさんを止めていなかったら、あのときメリーさんが拓也さんに触っていたら、間違いなく消えていたのはメリーさん。
そのとき配信のチャット欄にこういうのが出てきた。
"過去配信見てきたけどなんで主は八尺様に襲われて生きてるの?姿見たら終わりなんじゃないの?"
拓也さんはその質問に答えたられなかったようっすけど自分には分かりマッスル。
【巣食うもの】にはどんな怪異だって勝てない。
【巣食うもの】は宿主を守る寄生型の怪異。
よって、それに守られた拓也さんには八尺様だって手も足も出せない。
そういう寸法っす。
「と、現状の報告はこんなもんすけど。ちなみに拓也さんが配信するのは本当にいいんすか?国民パニックになってないっすか?」
「え?うん。大丈夫だよ。思ったよりみんなエンターテインメントとして楽しんでない?良くも悪くも安全なところから見れてるから問題ないんでしょ。それに怪異は恐れられなくなると弱体化する。だから彼の配信には価値がある」
と、軽い感じの首相。
それでいいのか?と思いながらも国のトップがそう言うから問題ないんっすよねきっと。
「分かったっす。失礼しマッスル」
電話を切った。
そして拓也さんに目を戻す。
名前:巣食うもの
レベル:9652
危険度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(やばいっすねこれ。拓也さんが殴ればあらゆる怪異が消えてなくなりマッスル)
そう思ってたら拓也さん達は話をまとめたようで初任務に向かっていったっす。
(さて、コトリバコの処理でもしマッスルか。それにしても相変わらず趣味の悪い気持ち悪い箱っすよねこれも)
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