第1話 ゲーム

 入学式が終わって一月が経った。

友達はまだ出来てなくて、少し焦っている。

「今日は入学から一月が経ったけど、まだ馴染めずにいる子もいると思うので、皆でゲームをしたいと思います」

クラスで楽しそうな声が聞こえて、みんな楽しみにしてるとわかった。先生、橘先生はとても良い先生で、生徒間でも教師間でも親しみやすい先生。1年6組の担任で担当科目は音楽。

「今日は意思疎通ゲームをします。このクラスは30人だから5チームに別れてもらうんだけれど、平等にくじ引きで決めます」

くじ引き……俊介と同じチームになれたらいいな、なんて思ったけどなれるかな。

「全員くじ引き引き終わったかな?それじゃあ席移動してね〜席着いたら軽く自己紹介してね」

俊介と同じチームになれてホッとしたと同時に、彼女もまた同じチームだった。

「水城俊介です、バスケ部で好きなことはゲームしたりすることよろしくお願いします」

「綾瀬碧依です、バスケ部マネージャーしてます。よろしくお願いします」

「佐藤春希です、趣味はゲームしたりです、よろしく」

「田中美樹です、絵を描いたりするのが好きです、よろしくお願いします」

「北沢咲良です、陸上部です、よろしくお願いします」

最後は僕の番、緊張して言葉がつまらないかな……

「黒峰幸斗です、緊張してますがよろしくお願いします」

なんとかつまらないで言えた、良かった。

「自己紹介終わったかな?それじゃあ意思疎通ゲームはじめるよ〜1つ目のお題はデデン!春と言えば?」

春と言えば桜だとおもうけど、みんなはどうなんだろう。そう考えていたら俊介と目が合った。

「春といえばかーーんーー?幸斗はもう浮かんだか?」

「僕はもう浮かんでるよ、俊介は?」聞き返してみる

「俺も浮かんだ、みんなも浮かんだか?」

みんな頷いた。これが合ってたら点数貰えるんだよね。合ってるかな

「時間切れです、それじゃあ水城チームから順に答えてね、春といえば?」

「桜!」他のチームも桜だった。最初は簡単なお題だったけど、あとにつれて難しくなっていったからすごい考えたけど、毎回俊介と同じだったからちょっと嬉しかった。

「それでは最終結果を発表します!1位はーーデデン!水城チーム!おめでとう!2位は惜しくも1点差で松本チーム!3位は同率で百々谷、中原、桜日チーム!みんなどうだった?楽しくできたかな」

楽しかったし、ちょっと嬉しかった。友達も出来て橘先生には感謝しかなかった。

「楽しかったよ!美咲先生ありがとーー!」みんなが楽しそうで僕も良かった。なにより俊介と同じチームで良かった……。

「こらーー!下の名前で呼ばない!橘先生でしょーー!」みんなが笑って楽しくゲームは終了した。

「楽しかったね、俊介くん、佐藤くん、咲良ちゃん、美樹ちゃん、黒峰くん!」

俊介だけ下の名前……。

「そうだね、楽しかった、みんなありがとう」

「ありがとう、俊介、幸斗、みんなも」

「楽しかったよ、ありがとう」

みんな仲良くなれて良かったって思うのに、なんで胸がズキズキ痛むんだろう。

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