第4話 佐藤のツヅキ

これで終わり。

そう、これで終わりだったんだ。佐藤さんの動画は。


三日目の二十四時で佐藤さんの動画は終わっていた。

本当はあるはずの、四日目のカメラ回収までの残りわずかな時間の動画が消えていた。


佐藤さんの動画投稿はこれが最後となった。







佐藤さんの動画生配信は大盛況だった。でも、それも数日のうちだけ。

すぐに別の動画がランキングを塗り替えていって、更新のない動画はすぐにランク外。佐藤さんは、その後更新しなかった。

きっとすぐに、誰もがそんな動画が配信されていたことすら忘れていくんだろう。これもいつものことだった。

僕は同級生の実家である地元の寺へ連絡をいれた。佐藤さんは動画のデータを供養すると言っていた。動画の配信後、彼は寺へ行ったのか。僕は、それだけを聞きたくて受話器を手に取った。

答えはNO。誰もそんな人は来ていないとのことだった。


彼はあの後どうしたんだろう。

時間だけが過ぎていった。




そんなとき、一つのニュースがテレビの中を流れていった。


『ニュースです。本日、◯◯市某所で変死体が発見されました。所持品と歯の治療痕から、都内在住の佐藤さん(35才)・職業ユーチューバーだと特定されました。

死体の損傷が極めて激しく、殺人事件の可能性が高いとされています』


『ニュースです。先日発見されたユーチューバー・佐藤さんの変死体遺棄について、警察は事故死としての見解を明らかにしました。

発見数日前から佐藤さんは徒歩にて◯◯市へ向かったきり行方がわからなくなっていたようです。

死体の発見された場所周辺では、野犬の目撃証言が多くされていたようです』


あの佐藤さんのことだろうか。

僕はニュースの詳しい内容を調べようとした。そして同時期に、僕の元へと郵便が届いた。


一枚の茶色い封筒。差出人は、あの佐藤さんだった。消印は。


佐藤さんの最後の動画が公開された、当日。

動画自体は夜に公開された。だから、昼間にそれを送ったのかな。

僕はそう思って封を切った。

中に入っていた物はビニールに入った三枚のマイクロSDカード。そして、一枚のメモ切れ。

メモにはこう書いてあった。


「ごめん


たのむ」


メモの端々には赤黒いものがこびりついていた。


僕は一枚、カードをパソコンに入れた。その中身は、あの動画データだった。

あの動画の続きだった。

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