第4話:一方その頃、母達は
「だいたいこんなものかしらぁ?」
「んー、やっぱりネックは雪人ちゃん、ね……」
二人の母の寝室。
雪枝と美里が、ベッドの上で並んで横になり、枕元のノートを見やる。
「あの子、純粋すぎて、奥手すぎるものねぇ……」
「ちょっと育て方を間違えたかしら?」
雪枝が、息子の雪人について思う。
「周りが女ばかりで、男らしさが損なわれてしまったのかしらぁ?」
「それは一理あるわね……」
雪枝の恋人で、アカネの実母、美里。
二人は、自分達の息子と娘を結婚させて、孫を儲ける事を画策している。
二人の血を受け継ぐ存在を生み出すことで、二人の絆を深めよう、と。
二人が十六歳の誕生日を迎え、あと二年で結婚できる。
ノートには幾つかトゥルーエンディングへの
「アカネちゃんはノリノリなのに、ねぇ……」
「まったく、誰に似たんだか……」
じろり。
雪枝が美里を凝視する。
「何? 雪枝さん? そんなに見つめられたら、わたし、火照っちゃうわ……」
「いや、まあ、その……子供、孫の方、どうするかよねぇ」
「んー、結婚……婚姻届け自体は、三年の在学中にできるとして、確かに子供ができると、通学が……」
「あまりアカネちゃんに負担、かけられないしねぇ……」
んー、と、うなる母二人。
「本人の意見と言うか、意思も確認しなくちゃだねぇ」
「あの子、今すぐにでも子作りする気満々みたいだけど……」
「それはそれで、どうかと……」
んー、と、さらにうなる母二人。
「とりあえず、おめでたい日だし……」
雪枝を押し倒す美里。
「ん、もう、しょうがないわねぇ……この母ありてあの娘あり、かしら?」
組み敷かれる、雪枝。
「えへへ。ん、ちゅっ」
覆いかぶさる、美里。
「んっ!」
母二人。女二人。
大人の夜は長い。
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