第2章: 心揺れる想い
3話 葛藤と距離
美咲と紗夜は、星を見ることで心を通わせるようになり、次第に心の距離が縮まっていました。しかし、美咲の胸にはひとつの葛藤がありました。それは、自分が紗夜に対して抱く特別な感情に気づきつつも、その気持ちを素直に受け入れることができなかったのです。
ある日の放課後、美咲と紗夜は屋上で星を見るために再び集まりました。彼女たちはいつものように、星空に向かって静かに語りかけるように話し合っていました。
「美咲さん、宇宙の不思議って本当に面白いよね。新しい発見があるたびにワクワクするんだ」
紗夜は少年のような輝きを放ちながら、宇宙への情熱を美咲に語りました。
「そうだね、紗夜。私も宇宙の不思議に興味を持ってきたんだ」
美咲は微笑みながら、自分の気持ちを隠すように言葉を選んでいました。
「それで、どんなことが気になってるの?」
紗夜は興味津々に美咲の言葉を待っています。
「私は…」
美咲は言葉に詰まり、口ごもりながらも、彼女の気持ちを正直に伝えようとしていました。
「私は、最近あなたのことが特別だと感じてるんだ。だけど、それが友情の中の特別な感情なのか、それとも…」
美咲の言葉が途切れ、彼女の胸がざわめくように感じられます。紗夜は美咲の表情を見つめながら、微笑みを浮かべます。
「美咲さん、私も同じような気持ちでいたんだ。でも、それって素晴らしいことだと思うよ」
紗夜の言葉に、美咲の心にほんのりと温かな感情が広がります。
「でも、私…まだ自分の気持ちを受け入れることができない」
美咲は素直になる勇気に苦しんでいました。彼女は自分の心の中に眠る想いに、まだ自信を持てなかったのです。
「美咲さん、焦らなくていいよ。時間が解決してくれるかもしれないし、ふたりで一緒に考えていくこともできる」
紗夜は優しく美咲の手を握りながら、彼女に寄り添います。
「私は、美咲さんと一緒にいられることがとても嬉しいんだ。それだけで十分だよ」
紗夜の言葉に、美咲は少しずつ安心していくのを感じました。ふたりは星降る夜の中で、心の葛藤と向き合いながら、特別な想いについて考える時間を共有していくのでした。
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