第二章 十六話「解決へ」
in 空き地
純華や悠露には、アヤと
見えているのは澪菜と五織、
袮遠「やあ、さっきぶりだね君たち」
澪菜「...へ?」
袮遠の急なその声に、サァーッと背筋が凍る
澪菜(うそ!?え!?純華たちと会ってる?私の知らないところで?え、なにかされてないよね!?)
純華たちへの心配が募る。
純華「あ、澪菜の彼氏さん!突然いなくなったからどこに行ったのかと思いましたよ!」
澪菜「...ん?」
本当に、澪菜は純粋に首を傾げた。
悠露が五織へ駆け寄って、起こそうと声をかけているのがやたら遠くで聞こえる。
純華「とりあえず、澪菜と五織先輩が無事で本当に良かったッ!」
薄らと目に涙を浮かべて澪菜へ駆け寄ってきた純華、澪菜はへらりと笑って「なんとか無事だったよ」と笑う。
純華はホッ...と息を吐くと、澪菜を連れて
空き地の隅の方に寄った。
澪菜「ちょ、純華?」
純華「...で!アンタどこであんなイイ男見つけたの!?」
澪菜「...はい?」
純華「すっとぼけても無駄だから!聞いたよ?彼氏さんなんだって?」
ニヤニヤと悪戯を仕掛けた子供のような笑みを浮かべている。
澪菜「...彼氏??...はぁ!?」
ブン!と音が鳴るほどの速さで後ろを振り向くと、ニコニコと明らかに純粋では無い笑みを袮遠が浮かべていた。
澪菜(ッあの野郎ッ!お隣さんだけではなく、純華達にまで!?)
澪菜「...へ、へへ...りょ、旅行で〜...少し?...知り合った〜...と、いうか?」
純華「澪菜、なにその微妙な顔、そこは照れたりするんじゃないの?」
澪菜「...ナイナイ」
ちゃう!彼氏ちゃう!居候や!と地元の関西弁で弁明したいが、生憎言おうとした直前に
『これは今後のためでもあるから、より関わりやすく、1番面倒くさくない方法なんだから弁明はナシだよ』
と鮮烈に脳内で
語ってきやがったのだ。
とりあえず、澪菜と純華は五織の元へ駆け寄り、様子を見た。
純華「西元先輩、救急車呼んだほうがいいですよね...?」
袮遠「ごめんね、その事なんだけど、1回全員こっち向いてくれるかな?」
袮遠の招集に、全員が袮遠に注目する。
夏の暗い夜の宵闇の中、袮遠の美しい黄金の双眸が妖しく光った気がした___。
澪菜「ッちょ、純華ッ大丈夫!?...西元さんもッ」
純華も悠露も、首から力が抜けたように
ガクンッと顔が下を向いた。
袮遠「オーヴォン紅が、恋夜祭リに関する記憶と知識を今消してくれてるから。
僕のことは、今後なにかあっても関わりやすくなれるように覚えていてもらうけどね」
澪菜「...はぁ.....なるほど」
澪菜は純華たちが記憶処理をされている間、
恋夜祭リの祠へ向かう。
澪菜「ッイギャア!!なにこれ!?」
恋夜祭リの祠、供物を捧げる場所には、
頭から血を流したカラスが捧げられていた。
澪菜「嫌がらせか!?これはダメでしょ!」
袮遠「そう?でもこれなら怖くて人間は近づかないだろう?」
澪菜「やったのアンタかい!ちょ、不謹慎すぎ!」
澪菜は近くに落ちてあった太い木の枝を拾って、カラスを祭壇から落として隅の方へ寄せる。
澪菜は祭壇へ戻り、財布に入っていた五円玉を取り出して祭壇に捧げる。
澪菜(神社とかではお賽銭って、穢れを祓ったりするために入れたりするんだよね...。
空を見上げると、まだ夜が深かった。
夜明け前。夜明け前が1番暗い__。
純華「...ッあれ......ボーッとしてた...あれ?五織先輩!?」
純華たちは、まるで今初めて五織を見たような反応をして、五織へ駆け寄った。
澪菜「...えっと...皆で五織さんを探してたでしょ?その、路地裏の入口で倒れてる五織さんを見つけて、ここまで連れてきて...」
悠露「本当にありがとう、協力してくれてッ!」
純華「澪菜、ありがとう!彼氏さんも、手伝ってくれてありがとうございます!」
どうやら記憶の改変で、袮遠も一緒に探し出した事にしたらしい。
まあ澪菜1人では五織を運んでこれないから、袮遠も協力したっていう改変なら自然でいいだろう。
袮遠「ふふ、どういたしまして〜」
五織「...ぅ...ん...あれ?...私」
悠露「五織!大丈夫か?」
五織「悠露?...それに純華まで...。ごめんなさい.....急に姿を消したりして...」
恋夜祭リに関する記憶が消えたことで、
一体行方不明になっていた理由はどう誤魔化されているのか、澪菜は不安だったが、どうやら改変した記憶では、家出ということになったらしい。
それからは、無事に純華が五織の家へ電話して、五織の両親からは散々、澪菜と袮遠に向かってペコペコと頭を下げてお礼を言われた。
流石にお礼までは面倒だと袮遠は思ったのか、
「大丈夫です、お礼は遠慮します」と、
一応しっかり敬語を使って話していた。
警察や救急車なども来て、1週間もの間で栄養失調の危険も考えられて、五織は手短に警察の事情聴取を終えたあと、病院へ運ばれた
悠露は、家に電話して、五織の体調の安否が確認できるように病院へ、五織の親と共に付き添った。
純華と澪菜たちは、お互いに「お疲れ様、おやすみ」と言い合って、もう夜明け近い空の下を歩いて帰路についた__
_____続く。
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