第二章 十三話「事件の発端」
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20分後、
スマホを見るとちょうど、20分が経過していた。
すると、奥から店員さんが五織の座っている席へとやってくる。
店員「お客様、カウンセリングの準備と順番が完了しました。どうぞ、お荷物を持ってこちらへ 」
五織は言われた通りに持ってきたカバンを持って、カウンセリング室_『占い』をしてもらえる部屋へと案内された。
ちょうど廊下を歩いている時、先客の2人組の若い女性たちが、占いの評価を話していた
『クチコミ通り、本当に為になったね』
『誘ってくれてありがとう!』という、プラスな話を聞くことが出来た。
五織は部屋の前に到着し、店員さんが部屋の扉をノックする。中から「どうぞ」という声が聞こえて、「いよいよだ…」と久しぶりに緊張を感じながら中へ入室する。
五織が中へ入るとき、店員さんから「それではごゆっくり」と会釈され、笑顔で室内から出ていった。
五織は占いが行われる部屋を軽く見回すと、
中央には綺麗に磨かれた大きめの水晶玉が、
小さな座布団の様なものに鎮座しており、
いかにも『占い』という雰囲気が作られていた。
奥に腰掛けていた、若い女性の声で、「どうぞ、こちらへ」ととても落ち着いた、柔らかい口調で言われる。
素直に客用の椅子へ座ると、占い師さんの
顔が見えた。
五織「…ッ!?」
五織はついつい目を見開く。占い師といえば、五織の勝手な偏見で「おばあさん」という魔女と似た認識があったが、目の前に座る
女性は、綺麗な艶のある黒髪に、金色のメッシュ、瞳は青い綺麗な色をしていて、まさに
『眉目秀麗』だった。
彼女は五織の驚きに表情を変えずに、優しく問いかける。
???「初めてのご来店、ありがとうございます。今日は、何を占いますか?」
五織「…あ、えっと…れ、恋愛について…なんですけど…」
???「恋占いですね、お好きな人が?」
恋バナを楽しむ乙女のような微笑ましい顔でそう言われて、五織は苦笑を浮かべながら口を開く。
五織「…え、えっと…既に恋人関係でして…。
今回はその、どう思われているのかなッて、不安になってしまって…」
???「なるほど、そういうことでしたか。おまかせください!」
女性は両手を水晶玉に翳して、深呼吸をした。
???「……!」
女性は、目を開けて、とても嬉しそうな、楽しそうな笑みを浮かべた。
五織「…えっと…なにか分かりましたか?」
女性「…はい、分かりましたよ。そうですね…そのまま、今まで通りの日々を送っても、特に大きな問題はありません。お互い、関係は良好ですよ」
五織「ほ、ホントですか…!」
五織は安堵の笑みを浮かべて、ほっと息をつく。
???「……でも、また不安が募るようになった時のために、良い情報をお教えします」
五織「ッ!お、お願いします」
???「あなた、『
五織「?こ、恋夜祭リ?」
女性は頷いて、話を続ける。
???「恋夜祭リは、日本の縁結びの神が関係している祭りでね。そこへ一人で行って、
祭りにある神社にお賽銭とお祈りをすれば、縁を繋いでおける…。そういうお祭りなの。」
不安で仕方がなかった五織には、とても魅力的な話だった。
それから五織はメモを取りだして、何処でやっているのか、何か必要なものがあるのかなどを慎重にメモをしていく。
五織「…祭壇に…供物を置いたら、行けるんですか?」
???「…ええ、このお話、信じる人と信じない人が一定数いてね…。やっぱり、皆そこで思い止まるの」
???「…そうね、これは一種の『パラレルワールド』とか『異世界』って呼ばれる所にたどり着くの。でも、入る時にしっかりと供物を置いておけば、きちんと元の場所に帰してくれる。」
それを聞いて、五織は安堵して女性にお礼を言う。
五織「ありがとうございました!占いだけでなく、とても為になるお話まで聞かせて頂いて!」
頭を軽く下げて、軽い足取りで食事処へ戻り、お会計を済ませて店を出る__。
______
五織の家
五織「…え〜と、供物になるもの…おにぎりと、お金とスマホ…あ、そうだ」
五織はスマホの画面ロックを解いて、
ある人へのメッセージを開く。
五織「『恋夜祭リに行ってくる。』…よし」
そうメッセージを書き、五織はワクワクしながら、恋夜祭リの祭壇が置かれている空き地へ足を向かわせたのだった……。
家を出た五織のことを、高い木の上から
黒1色の体で赤く光る瞳に見下ろされていることを、知らないままに______
_____続く。
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