共有型経済の各課題に対する解決策
共有型経済を実現する。もしもそうなった場合、たくさんある課題を完全にとまではいかなくても、気にならないレベルにまで解決できる具体策が必要だろう。しかし、そのような具体策を挙げるのは、新しい経済の仕組みを考えることが難しい多くの人々にとって困難である。やはり、考案者である私が考え、可視化していくのが最良の方法となるのではないだろうか。そう結論付け、幾つかのエピソードに分け、各課題における解決方法を私なりに模索していくことにした。今回は、インフラ関連。長くなるかもしれないが、少しでも興味があるのなら、ぜひ最後まで読んでいただきたく思う次第である。
まずインフラに関する課題で外せないのが、公共インフラの整備や維持だ。これは一般的に、国や市区町村が、国民や地元民から税金を徴収する代わりに、生活に不可欠なサービスを提供する一環で行っている。そのため、道路の整備や、橋の補修など何らかの公共インフラを、工事により実施して、多くの人々に使ってもらう際には、どうしても金銭のやり取りが発生してしまう。だが、共有型経済では、あらゆる経済活動を通貨ではなく、ポイントと呼ばれる制度で回していくため、工事を行ってもらった対価としての報酬を現金で渡すことが出来ない。
したがって、共有型経済では、工事の見返りとして、ポイントを付与することになる。このポイントは、どこが貰うのか?それは、共有型経済に移行する際、新たに作られた、共有会社が報酬として受け取るという部分を理解してほしい。このポイントは資本主義でいうの資産に近いと思うかもしれないが、実際のところ、そうではない。貰った報酬で何かと交換したとしても、例外品以外は、私有財産として認められることが絶対にないからだ。
そのため、インフラ事業を手掛ける共有会社は、工事に必要な道具を共有元から一式借りることで、工事を手掛ける。そのポイントの出所は、共有会社に所属する個人あるいは複数人が持つポイントから出る仕組みであり、たとえ、事業が上手くいかなくても、心配する必要はない。共有型経済は、資本主義のように一部の人間だけが得する社会ではなく、皆が皆、得するような仕組みを目指しているため、仮に勤め先の共有会社が無くなっても、一定の生活レベルがポイントで保障される。
次なる課題点は、他経済システムとの取引の問題。これは、2つに分けて考えると、より分かりやすくなる。つまり、国際貿易と海外旅行だ。国際貿易の場合、どうやって商品を買うのか。海外旅行の場合、どのように両替するのか。これらの課題を解決する方法を示すため、まずは海外旅行のケースから考えることにしたい。
先ほども述べたように、共有型経済は通貨ではなく、ポイントで経済活動を行っている。そこで、両替するとなったら消去法でポイントを、通貨に交換する選択を取る必要があるに違いない。そのときは、1ドルは何ポイント相当か、リアルタイムで計算しなければならないが、それはひとまず置いておく。おそらく、読者の疑問はこれに尽きる。果たして、私有財産が限定的にしか認められない共有型経済で、海外旅行に行ける程度のポイントを生み出すことが出来るのであろうか。
答えを言うのであれば、不可能ではない。不可能ではないが、難しいと言えるだろう。海外旅行先を遠くにすればするほど、日程を長くすればするほど、その費用は必然的に高くなる。そして、両替するのに使うポイント分は、レンタルした物を有効活用した経済活動で用意する。これは当たり前だ。どんな人にも最低限のポイントを付与するとはいえ、海外旅行に行けるくらいの余裕を、ポイントとして与えるわけにはいかない。共有型経済における最低保障は、あくまでも日常生活を送るのに困らない程度のポイントを分け与えるもの。経済活動をしていない人々に、そこまでのポイントを与えていたら、誰もが経済活動そのものに馬鹿らしさを感じ、共有型経済は、あっという間に崩壊に向かう。
さて、ポイントを両替するのであれば、何らかの価値基準が必要だ。だからといって、何もないという回答で済ませるのは良くない。ここで、私から1つだけ案を挙げるが、これは仮の案だ。それが最適だとは決して思っていない。その案とは、ポイントの価値基準を、国内の経済規模の大きさに応じて決めることで、それに見合った分を通貨として交換しようというものである。では、経済規模の図り方はどうするのかという課題。それについては、経済指標の図り方という課題項目で、今回より少し後のエピソードで詳細に話すので、今は省略させてほしい。
そして、国際貿易。これも忘れてはならない。けれども、考え方自体は、海外旅行のケースと同じで、国内の経済規模を図った後の価値をポイントとして換算。そこから、取引という手順になる。だが、海外で買って来たお土産は、海外では自分のものとして扱えても、国内に帰国した瞬間、共有財産として処理されることになる。逆に共有財産にならないのは、思い出の記憶や、撮った写真くらいな物であろう。
インフラにおける3つ目の課題。これは、災害時の復旧対応や、住まいの確保が挙げられる。言い換えれば、災害による被害に対して、迅速な対応できるかという問題だ。私個人の考えを言うなら、可能だが、それには限界がある。勿論、日本は地震を始め、台風などの災害が多い。そのため、そこから逆算して、ある程度の余裕を、共有型経済下では持たせる事を想定している。しかし、もしも未曾有の規模の災害が起こり、数千万~1億人単位の国民が家を失う事態となったら、すぐには対応が追い付かず、人々を失望させることにはなるのは必然だ。
そういった事が生じないために、どのような対策をするのか。特に何もしない。このような起こり得るかどうかも分からない非現実的リスクは、隕石や、宇宙人、ブラックホールなどと同様に、対策したところで結果が良くなる保証はどこにもなく、起こってからでないと何をすれば良いか分からないからである。
だが、いつ、どこで、どんな災害が起こっても、それが小規模ならば、共有型経済で生まれた共有財産を使って、損失分をカバーすることは充分に可能だ。それなら、中規模はと言うと、中規模の災害の場合、状況によっては、復興の鍵となる建築資材が、すぐに提供できない可能性が極めて高い。それゆえに、中規模災害の発生後は見た目のデザインを無視した、3Dプリンターを用いた家の提供が中心になる。とはいえ、難民キャンプで建てられるようなテントや、震災後に作られた仮設住宅よりは、遥かに快適な暮らしを送れるのではないだろうか。根拠はないが、私はそのように確信しているし、そう信じてもらいたい。
また、災害発生後にありがちな災害孤独死については、共有型経済が、直接的に関与して解決できるようなものではないため、別のシステムからの支援や、改善を心から期待する他ないように思える。
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