第47話 神託とこれから
俺達は、取り敢えず円になって床に座って(掃除はされてる)光の話を聞き始めた。
「まず、僕の過去から言っていい?」
「いいけどなるべく簡潔に言って」
「魔王の復活を目論奴に両親殺されてぶちギレ状態だったけど、生き残ったから何とか逃げきって、始崎家に拾われて育てられた。で勇者の職業を得て復讐のチャンス到来、今ここ!」
「絶対そんなノリでする話じゃなかったでしょ」
「まあ、もう終わった話だし、笑い話にした方がいいかなって思って!」
「苦笑すらできねぇよ」
俺はそう突っ込み、次の話に突入させる。
「で、神託は?」
「3つあるよ!一つ目は自分が勇者であることは、仲間以外には秘密にしなさいだって!二つ目は、今は仲間を探しなさいだって!で、最後が力をつけなさいだって!」
「………成る程、ゴミの極みみたいな神託だな」
「だよね!!全部あやふやと言うかフワフワしてると言うか、この神託で魔王討伐とかどうすんの?って私思ったもん!!」
…はぁ、やはり全く頼りにならない神託だったな。
流石勇者という職業の唯一の産廃スキルなだけあるわ。
まあ、それはさておき…
「で?これからどうすんの?」
「力をつけて仲間を見つける!!」
「黙れ神託」
俺がもはやヤケクソになった光にそう言うと、始崎が口を開いた。
「………提案なのですが」
「何だ?」
「二週間後にあるオリエンテーション合宿あるじゃないですか」
「ああ、あるな」
ちなみに、オリエンテーション合宿というのは、一年生が転移の魔方陣を使い、三泊四日総出で合宿用の宿舎がある秘境に行くというイベントである。
そこでは、勝てば上のクラスに上がれる決闘ができたり、何かを賭けて決闘する事ができたりする。
去年のオリエンテーション合宿では、この賭け事式決闘で、Aクラスの生徒が持参してきたお菓子を、Sクラスの天災共が軒並み強奪するという珍事が起こったらしい。
これを雀先輩から聞いたときは爆笑した。
まあ、それはさておき…
「で、何するんだ?」
「………決闘って、基本一対一でダンジョンウォッチ使ってやるじゃない」
「ああ、やるな」
「決闘中に強さを見定めて、誘えばいいんじゃない?もちろ無理矢理じゃなくしっかり話合って」
「んな余裕あるかしら?」
「無神と光ならできるでしょ」
「「確かに!!」」
俺と光がハモる。
まあ、それはさておき、さらに説明だが、ダンジョンウォッチには沢山の機能がある。
その一つが、どこでも決闘ができるという機能である。
ダンジョンウォッチで決闘申請を送ることができ、それが相手に承認されると、決闘が始まる。
すると、ランダムな場所の異空間の中に転送され、殺しても死なない、どちらかが死ぬまで続く決闘が始まる(若干矛盾)
そんな機能である。
そしてどんな仕組みでこんな機能を実現させているのかというと、ズバリ!異空間を生み出すドロップ品と、ダンジョンの産物により急速進化を遂げた科学技術を組み合わせることで実現されたのである。
そして何故こんな機能があるのかというと、路上での喧嘩が今も昔も大流行したからである。
簡単に言うと、子供達もいる町の中で、いきなりバトり始める人達が沢山いたので、それを穏便に済ますために作られた機能だ。
そしてその機能を、この中学校では、序列を表すために用いられている。
めっちゃ簡単に言うと、校内ランキングだ。
勝てば上がるぞ!!
………まあ、それはさておきオリエンテーション合宿では、この決闘機能が猛威を奮っている。
ちなみに、設定次第では、公開決闘モードにできたりする。
だが、その設定をオフにしていれば、必然的に相手との二人きりの場面ができるわけだ。
そこを狙って誘えと聖女様はおっしゃられている。
控えめに言って天才だわ。
そして同じ事を考えてた俺も天才だわ。
……………まあ、俺が天才かは置いておくとして、普通に良案である。
「じゃ、反対意見もなさそうだし、二週間待機ということで!」
「なにいってんだ勇者?この二週間でレベル上げするぞ」
「だよねー、僕も思った」
「取り敢えず目標は森林第15階層でいいかしら?」
「「「おけです」」」
そして俺達は、二週間後に備えて、放課後はダンジョンに潜る生活を始めた。
オリテで強い人見つかるかなぁ、と思いながら。
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星月中学校超前編終了
狂喜!!歓喜!!オリエンテーション編スタート!!!!
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