十八禁属性最強トーナメント二回戦第五試合

椎名ロビン

年下喰い・淫乱人妻 VS 年上喰い・生意気ショタ


『最強』

それは、人ならば――否、生物ならば必ず夢見る称号。

群れの中で頂点を獲るべく生物は皆精進し、互いの全てをぶつけ合う。


そしてその最強への渇望は、群れのテッペンを獲った程度では収まらない。

より高みへと登るため、異なる群れの最強をも打ち倒さんとより激しく燃え上がる。


「最強の存在が見たいかッッッッ」


最強のレスラーが、最強の空手家が、最強のボクサーが決まった後は、最強の格闘家という大きな括りでの最強を決めるべく最大トーナメントを開かんとするように。

この熱気あふれる会場でもまた、各々の世界で最強となった者達が、より大きな枠組みの中でテッペンを獲るべく激しくぶつかり合っていた。


「うおおおおおおおお~~~~~~~!!!」

「当たり前だ~~ッ!!!」

「チンタラやってねーでさっさとオッ始めろ淫売ッ!」


司会進行を担う少女の叫びを受け、観客席からは怒号が響き渡る。

この闘技場に集まったのは、二種類の人間。

最強の座を誰が射止めるかという、小学生の休み時間のようなことが気になって仕方がない観客達。

そして、己こそがナンバーワンだと疑わない闘技者達。


「大会六日目を迎えて尚もッ! 未だ会場のボルテージは最高潮ッ!」


ステージ上で司会進行を担う少女は、会場の希望には似つかわしくない安っぽいセーラー服を身に纏っている。

やや童顔目だが整った顔に化粧っ気はなく、しかし代わりにマジックペンで装飾が施されていた。

淫売、売女、正正正、少女の本名――

数多の文字が顔面や太腿に殴り書かれ、その太腿の傍には下着から垂れるナニカのコードが汗で貼り付いていた。


「エロ属性最強トーナメント第二回戦二日目、いざ開幕ですッッッ」


大会の全日程で司会進行を務める少女は、所謂アダルト系配信者である。

最後には必ずカメラの前で醜態を晒し、恥辱の限りを尽くされてきた。

ここはそういった魑魅魍魎の集う場所。

雑に作られた特殊な檻の中で、化け物達が覇を競う狂気の祭典なのである。


「それでは入場していただきましょうッ! 攻めの方角から入場するは、この女ッッ」


司会進行のエロ配信者が大きく腕を振る。

それに合わせ、会場の大モニターに一人の女が映し出された。

初戦の時と同じプロモーション映像に、初戦でのハイライト映像が加えられた入場ムービーだ。

派手なBGMが掻き消えるほど、観客達が雄叫びを上げる。


「長き伝統を持つ古式ゆかしい属性だが、令和においても最前線ッ!

 貞淑にして淫乱ッ! 相反するはずの二属性を調和させたまさに性癖メドローアッッ!」


スモークの向こうより、一人の女が戦いの舞台へと入場する。

その出で立ちは非常にシンプル。

白のTシャツに、デニムのジーンズ。

装飾品と言えば、左手薬指に光った指輪だけ。


年下喰いふしだらなおんな・淫乱人妻ーーーーーーッッ!!」


手入れのされた黒髪に、知性や冷静さを思わせる切れ長の目。

難攻不落の堅物といった表情だが、しかしながら肛門が弱くどこかチョロそうにも見える。

そんな美しい顔以上に目を引くのは、その肢体。

あまりに巨大過ぎる胸の先端は、下着を貫通しているのか何故かシャツにうっすらと突起を形作っている。

そして同じくらい巨大な尻も、やはり胸同様にそのフォルムを異様なまでにアピールしている。

コイツのジーンズ、タイツとかと同じ生地で出来ているのかもしれない。


「続きまして受けの方角ッッ! 敢えて言いましょうッッ入場するのはこの"男"であるとッ!」


淫乱人妻の入場とは対局の方角。

そのスクリーンに、やはり初戦のハイライトを加えたデモムービーが流される。

またも大歓声が上がり、そしてスモークが立ち込めた。


「十八歳未満禁止なのは見ているだけの連中の話ッ!

 舞台の上では年齢なんて関係なしッ! 偉い人達にはナイショだぞッッ!!」


スモークから現れる影は、淫乱人妻と比べても遥かに小さい。

百三十にも満たないであろうその体で、しかし悠々とステージへと上がってくる。

その瞳はあまりにも輝いており、純粋無垢にも挑戦的でギラついているようにも見えた。


「圧倒的若さという武器と、そして歳に似合わぬ男らしい下半身という武器ッ!

 彼もまた二極を調和させたメドローアのような存在ッ!」


サラサラの黒髪。ツヤツヤの肌。圧倒的なその若さ。

その魅力は、何も美少女だけのものではない。

半ズボンから伸びる細い足でゆっくりと入場する、彼もまたその魅力を有す存在。

それも性的なだけではない、健全で健康的な魅力をも有していた。


年上喰いきせきのおねショタぎゃくてんファイター、生意気ショターーーーーーッ!!」


大歓声を受け、生意気ショタがニコリと笑う。

無垢なる笑みにも、捕食者の笑みにも見える笑顔で。


「それではッ第二回戦第五試合――――始めェッッ!!」


エロ配信者の掛け声と共に、観客席からはより一層大きな怒号が響き渡る。

二回戦へと進出した猛者同志の激突を想像し、胸を脅させ、その興奮を隠すこと無く両の拳や声帯を震わせる。

だが――


「う……動かないッ!? りょ、両者、動きませんッッ」


舞台の上で、両者はただ見つめ合う。

攻めの方角・受けの方角とは呼ばれていたが、それはただ便宜上つけられたもの。

同人の掛け算表記における攻めの方角から入場すれば「攻めの方角」とコールされるだけであり、そちらから攻めねばならないルールはない。

それどころか、別段ファイトスタイルも考慮されていない。

コーナーの赤・青のように、どちらが王者かという決まりもない。

本当にただ便宜上つけられただけの呼び名である。


「ど、どちらから仕掛けるか等の決まりはありませんが……こ、これは一体……ッ!?」


困惑しながら、エロ配信者は隣に座る恰幅のいい男性へと問いかける。

その男は、視姦一筋四十年――"視る"ことのスペシャリストだ。

今日はこうして、解説役として招待されている。


「ふむ……おそらくは、ファイトスタイルの問題でしょう」


視姦のスペシャリストが、ゆっくりと口を開く。

二回戦まで駒を進めた猛者ともなると、視姦のスペシャリストとはいえ手の内全てを暴けるわけではない。

下手なことを言えば恥をかく。

そのプレッシャーをはねのけ、ゆっくりとだが、私見を述べていく。


「欲求不満で自ら攻め込む淫乱人妻や、積極的に性的イタズラを仕掛ける生意気ショタも勿論いる。だが、あの二人はそうではない……」


一触即発。

微動だにせず見つめ合う二人の圧に、次第に観客席の怒号も鳴りを潜めていく。

次第に、会場に聞こえるのは視姦のスペシャリストによる解説だけとなっていった。


「淫乱人妻選手はまだ完堕ち前で亭主に操を立てているように見える。

 一方で、生意気ショタ選手もまた、性的に目覚めきっていない。

 どちらもカウンタータイプ。攻め込まれ、タガが外れてからが本番だ」


性的捕食者にも様々な型がある。

最初からパワーで押すタイプもいれば、搦手で自分の土俵に引きずり込む者もいる。

そして、最初は防戦一方のはずが、きっかけ一つで内なる獣が目を覚まし、一転攻勢するタイプ。

今舞台に立つ二人の戦士は、いずれもそのタイプであった。


「ねえ、おばさん――」


舞台上の沈黙を破ったのは、生意気ショタ。

痺れを切らしたわけではない。

焦っているわけでもない。

何より――自ら動くわけではない。


ただ、口を開く。

にっこりと、無邪気な笑顔を浮かべて。


「遊ぼうよ!」


ショタの持つキラーワード、「遊ぼうよ」――

シリアルキラーにも本当に純粋な子供にもなれる魔法のコトバ。

バトルにおいても格を跳ね上げ、日常においてもオトナをメロメロにする。

そのうえで、エロの土俵においては、これから繰り広げられる組んず解れつの前フリとなる。


「……随分甘えん坊だこと」


淫乱人妻が、ふうと一つため息を吐く。

人妻という属性は、子供からの遊びの誘いを断れないものである。

断れるとすれば、それは実子への愛をチンポ欲が上回った時のみ。

今この状況で子供からの誘いを無視することは、己の人妻としての格を落とすことになる。


「仕方がない子ね」


故に、先手を打って仕掛けるのは、淫乱人妻。

ゆっくりとがに股の姿勢で腰を落としていく。

戦闘中ならば隙だらけでしかないこの所作も、相手が"待ち"一辺倒と分かっていれば実行可能。


「おばさんが、遊んであげるわ」


厳かに、淫乱人妻が両腕を広げ持ち上げる。

淫乱人妻が多用する、フィニッシュに向けた必勝の型プリショット・ルーティーンである。


「何と言う美しい所作ッまさに完堕ち後全てを搾り取る淫乱人妻必勝の構えッッ!

 あるはずのない肉棒が、がに股の下と伸ばした手の先に見えるかのようだッッ」

「一回戦では媚薬成分持ちの触手選手が絶え間なく攻めてきたせいで披露できませんでしたからね、この型からどうやって生意気ショタ選手を捕食するのか注目ですよ」


視姦のスペシャリストの言葉を受け、有象無象の観客達が淫乱人妻の次なる一手に釘付けになる。

だがしかし、観客席にも、有象無象共とは違う形で盤面を見守る者がいた。


「どうやって……かァ。もう分かりそうなものだけド」


観客席後方、壁際にもたれ掛かるのは金髪の少女。

ポニーテールの毛先を指でくるくると弄びながら、ぽつりと呟く。

その青い眼には、淫乱人妻の型が、また別のものとして映っていた。


「分かるのか」

「と~ぜん。ミーだっていちおー、テッペン目指してた闘技者だからネ」


隣に立つ男に聞かれ、得意げに笑ってみせる。

豊満な肢体を包むのは、チアリーディングの衣装。

その衣装から溢れるドスケベオーラは、彼女が上位の闘技者であることを意味している。


カースト上位の快活美少女である彼女は、所謂『デブ専』属性を有していた。

太った顧問やご立派なイチモツを有するナードと交わることを得意とし、運動神経もハイレベルな彼女もまた、頂点を目指す闘技者であった。


「……得意なジャンルの知識や戦いなら自信があるヨ。誰にも負けない自信が……今でも……」


過去形なのは、彼女はもう敗れているから。

同属性の闘技者をふるいにかける予選会にて、オタクに優しいギャルに完敗を喫した。

処女性からくる防御の硬さとオタク知識による戦略眼を前に、チアリーディングで鍛えた身体能力やカタコトの外国仕込みの戦闘はあっさりと完封された。

そして頂点を目指せぬ身となり、有象無象と共にこうして外側から舞台を眺めているのだ。


「……それで、どう見る」

「簡単なことヨ。深く考えてエロを見い出さなければ、ユー達日本人の方が分かるんじゃないカナ」


賢明な読者諸君には、説明するまでもないであろう。

がに股で大きく腰を下ろし、両手を広げるこのポーズ。

更にそこに『開戦前に行われる所作』という条件が付けば、導き出される答えは一つ。


「そうか……不知火の型……!!」


不知火型土俵入り。

スモウレスラーの頂点を獲った者にだけ許される、神聖な型。


「イエス……さぁ、待ったなしデース」


がに股で下品に騎乗位をしながら両手でナニかを掴むような不知火型の土俵入りから、淫乱人妻がゆっくりと姿勢を変える。

がに股はそのままに、広げていた両の手を地面へと持ってくる。

その構えを見て、有象無象共にも、これから行われる行為に当たりがついたようだ。


「あ、あの構えは……ぶ、ブチカマシだァァァァーーーーッッ」

「人妻がお子様相手にすることといえば“かわいがり”ということかもしれません」


相撲の『はっきよい』という掛け声の由来には諸説ある。

発気揚々からくるものとする説に、易における八卦が良いからくるとする説。

だが、今現在支配的な説はそうではない。


その起源は江戸時代、明和の時に遡るとされる。

干ばつや洪水など天災が続いていた当時、人々は明日の安寧を信じられなくなり、刹那主義が隆盛を極め娯楽は退廃的な方向へと舵切られていた。

特に文学カテゴリにおいては不倫物の官能小説が人気を博し、後に松平定信の不興を買い寛政の改革の一因となったとされている。

その際『発情・浮気の用意』の略として民衆の間で流行した「発気用意」という用語から、転じて「はっけよい」とする説が現代においては主流である[要出典]


では何故、大衆文学における不倫人妻のための用語が相撲に転じられたのか。

これにもやはり諸説ある。

裸と裸のぶつかり合いを見立てたという説。

二人っきりの狭い世界の外に出たら負けであるというルールが、さながら緊張感のある不倫と同じだからという説。

誰の目にも触れぬ逢瀬も神様だけは見つめているとされ、その類の表現が当時の不倫文学作品に多かったことから、神様の前で執り行われる相撲との関連性を見出されたという説。

どの説にも説得力があるが故に、今なお起源が定まらない。

それ即ち、人妻に纏わるあれやこれと相撲には共通点が多いということ。


そう、土俵が女人禁制故に気が付きにくいが、淫乱人妻とスモウレスラーは近似の存在なのである。


「は、速……ッッッ」


エロ配信者が実況する間もなく、淫乱人妻が弾かれたように生意気ショタへと頭から突っ込む。

エロ配信者が反応できた時には、既に生意気ショタの体は壁に叩きつけられていた。


相撲におけるぶちかまし。

これを一流選手が行えば、軽四輪が時速四十キロで激突するのと等しい衝撃を生み出すことができる。

体の出来上がっていない小学生の身で受ければ、シンプルに交通事故ばりにふっ飛ばされるのが道理。

ましてや児童は交通事故属性の攻撃に弱いとされている。

こうなるのも当然と言えよう。


「相撲取りは、あの巨躯を支えるため足の筋肉が発達しているという……

 それがぶちかましのスピードや破壊力を生むのだが――まさか人妻の身でもこれほどのぶちかましを打てるとは……」


視姦のスペシャリストが驚いたようにポツリと呟く。

しかしこれは、意外なことでも何でもない。

人妻の伸びやすいパラメーターをランク付けすると、腕の筋肉を抑えて足が堂々一位になるのだ。


ご存知の通り、夫以外と致す人妻の実に九十八パーセントが、騎乗位を行うとされている。

自ら腰を激しく上下に動かす行為が屈服を意味し、堕ちたことの証明であるため、概ね一番激しいクライマックスで行うというのが通説だ。

性行為経験が豊富な読者諸君は経験からお分かりであろう(童貞はチョコでも食ってろ)が、性行為は一部筋肉を酷使し、その翌日に筋肉痛に悩まされる者も珍しくはない。

筋肉痛は筋繊維の回復と共に発生するものであり、反復して筋肉痛を呼ぶ行為をするということは即ち筋肉トレーニングである。

騎乗位の動作は、まさに足腰を鍛え上げるスクワット。

それを回数を決めずひたすら長時間快楽にも負けず(嘘、快楽には滅茶苦茶負けとるわ。でもフォームは崩さず)繰り返し、それを週に何日もしているのだ。

これで足が鍛えられないわけがない。


更にそれだけではない。

性行為以外でも、淫乱人妻は足腰を鍛え続けている。

掃除や洗濯といった家事労働には、しゃがみこんで行うものも多い。

ベスト・キッド等の名作映画からも分かるように、日常の所作が修行となるケースは非常に多い。

人妻は、足腰を中心とした修行に常に晒されていると言っても過言ではないだろう。

ましてや、人妻は異様なほどムチムチとしており人知を超えた爆乳を携えていることが多い。

何でかそういう作画が異様に多い気がする。ほんと何でか。

兎に角――常に胸元に大きな重りをつけ幾度もしゃがみ家事をこなすため、人妻は女性の中でも群を抜いて足腰が鍛えられた種族となる。


『結婚してから、どんどん太ってきた』

人妻に対するそんな愚痴をこぼす光景を、見かけたことはないだろうか。

少なくない数、そのような声が上げられている。

だがしかし――太ってきた、というのは勿論のこと誤りである。

相撲取りがデブというのが嘘であるように、人妻が堕落により太っていくというのもまた嘘だ。

あれらは全て筋肉。

鍛え上げられたアスリートとしての筋肉を、柔らかな脂肪で覆っているだけである。


「ごぼっ……い、痛いよ……オバサン……」


これ死んだんじゃね、というざわめきが広がろうかというタイミングで、土煙の中から立ち上がった生意気ショタが現れる。

その口端からは血が出ている。

垂れているというよりは、泡となって溢れているといった様相だ。

普通なら、ここでレフェリーストップが入るところだろう。

だが――立ち上がり、闘う意志を見せる以上、レフェリーストップは入らない。

ここはそういう場所なのだ。


「でも……なんかちょっと不思議。気持ちいいよォ」


生意気ショタが、にちゃりと笑う。

開いた口から、再度ごぼっと血の泡が溢れる。

だが、意に介さず。

不敵に笑い、ゆらりと揺れる。


「で、出ました! 生意気ショタ選手の十八番ッッ!」

「初めて味わう感覚を全て性の扉を開くきっかけにする……恐ろしいカウンターパンチャーですよ」


生意気ショタは、大器晩成型の逆転ファイターである。

圧倒的に不利な体格や知識量を補って余るその"好奇心"と"幼さ故のノーブレーキ"が最大の武器。

未知への混乱を快楽が上回り欲望に身を委ねることも、その欲望に振り回されて暴虐の限りを尽くすこともお手の物。

淫乱人妻に手を出され、未知なる衝撃に一頻り困惑し、それを快楽として脳が受け入れたここからが本番である。


「へへへ……タッチィ!」


一転攻勢に出た時の生意気ショタは強い。

特にそれが小学生のイタズラレベルのセクハラであれば尚強い。

そのフットワークは疾風怒濤。

圧倒的小回りを活かし、目にも止まらぬ速さで淫乱人妻の背後へと回り込む。

めくり上げるスカートがないため、代わりに尻を撫で上げた。


「くっ……!」


淫乱人妻が頬を赤らめ、ビビクンと反応する。

追撃をかけようと生意気ショタが印を結ぶ。

両手を組み合わせ、両の人差し指だけが、重なりながら突き出されている。

小学生が無邪気に行う暴力装置・カンチョーである。


「上手いッ……ガードが堅い淫乱堕ちのある者は、ほぼ例外なくアナルが弱いとされている……カンチョーはその弱点を小学生が突く最良の形だ」

「なるほどッッ確かに淫乱人妻選手はまだ堅物の雰囲気を匂わせていますッッッ!

 それ即ち、後ろの門が弱点であるということッッ理性のダムは後ろの門のヒビ一発で決壊するぞーーーーーーッッ!」


一体全体何をどうすれば人様の肛門にフルパワーで二本の指をブチ込んでいいなんて思うのか。

しかしそんな冗談では済まないことを躊躇いなく行えるのがショタというもの。

悪ふざけが淫乱人妻の淫乱部分を引き出す展開に持ち込むべく、悪意の籠もった人差し指が淫乱人妻の肛門へと突き立てられる。

尻の形を鮮明に映し出す謎のデニム生地が災いし、ジーンズ越しでもその指はズッポシと奥まで侵入していった。

この一撃により、淫乱人妻の理性のタガは彼方へと消し飛ぶ。


「……コラ。あまりそういうイタズラはするものじゃないわよ」


――はずであった。


「き……効いてなァァァァァァァァいッッ!!!!

 そんな馬鹿な! まさか――寸前で防いだとでもいうのでしょうか!?」

「いや……淫乱人妻がバックからの攻撃に弱いように、相撲というファイトスタイルもまた背後を取られることに弱い。

 謂わば淫乱人妻にカンチョーとはゴローニャにハイドロポンプ。効かないはずが……」


そう、通常であれば、これにて勝負有りである。

だが、そんなことは淫乱人妻は百も承知。

ロリショタ属性と人妻属性は、ソシャゲの光属性・闇属性のように、互いに効果は抜群の攻撃となりうる相性。

一定以上知性がある相手ならば、当然有利な形で弱点であるアナルを攻めてくるはず。

それを理解してなお何も対策を打たないほど、淫乱人妻は愚かではない。


(クックック……どうやらオレとのアレが功を奏したようだな)


観客席でニヤけるガタイの良い男。

彼もまたこの大会に参加する闘技者である。

圧倒的フィジカルモンスターが売りの、サングラスをかけた筋骨隆々の黒人。

軍人であることから来る戦闘スキルの高さもあり、一回戦のドスケベ聖職者を相手に危なげなく勝利している。


――――HAHAHA。正気かい。このオレに抱かれようってのか。


フィジカルモンスターは、秘密裏に淫乱人妻と同盟を結んでいる。

その同盟は、淫乱人妻が初戦を突破し舞台を下りた直後に結ばれていた。


――――やめておきな。オレの試合を見てなかったのか?


淫乱人妻から出された提案は、ズバリ淫乱人妻を秘密裏に抱くこと。

性欲旺盛だが理性ある軍人のフィジカルモンスターは、二つ返事は受けない。

罠を警戒してのことだが、相手のことを思ってでもあった。


――――オレのは相当デカいからな。アンタ、試合の前から潰れちまうぜ?


クク、と冗談めかして笑うフィジカルモンスターに対し、淫乱人妻は終始真剣な眼差しを向ける。

傍目には余裕勝ちに見えたようだが、淫乱人妻は一回戦を経て、兜の緒を締める必要性を感じていた。

対戦相手の触手を圧倒できたのも、単なる相性勝ち。

バランスを崩して恥ずかしい格好をさせてから堕としにくる触手のファイトスタイルが、バランスを崩されないための技術に特化した淫乱人妻の相撲スタイルと噛み合いすぎただけに過ぎない。

不意打ちでアナルにぶちこまれていたら、圧勝していたのは触手の方であっただろう。


――――構わないわ。そこで駄目になるようなら、所詮はそこまで。


フィジカルモンスターとて、勝ち上がっていけばいずれぶつかる相手なのだ。

ここで引くわけにはいかない。


――――何より、そう言うだけあるサイズのいちモツが今の私には必要なのよ。


その後、覚悟を認めたフィジカルモンスターに、淫乱人妻は抱かれている。

そう、のだ。

必死に主人に操を立てている状況ならば、肛門を攻められればひとたまりもなかっただろう。

だが今は、既に不貞を働き、チンポに堕ちた後である。

欲求不満ではあるものの、それはレスによるものではなく、ご立派なものを持つフィジカルモンスターとの不倫が待ちきれない状態故だ。

その状況では、ショタの指など文字通り児戯に過ぎない。

チンポのデカさに既に屈している以上、ここから更に屈服させるには最低でも同程度のチンポのデカさが必要なのだ。


「悪い子ね」


動揺する生意気ショタの首根っこを掴み、淫乱人妻がお仕置きの膝を叩き込む。

本来の淫乱人妻なら、子供にここまで苛烈なお仕置きは出来ない。

だが、チンポに堕ちた後ならば別。

チンポに擦り寄るためならば、子供相手に非道も働く魔女と化す。


「う、うわァァァァーーーーーーッ! チャランボの嵐が生意気ショタ選手を襲うゥゥーーーーーーッッ!!

 非道にして無情ッ! なんという児童虐待ッッ! 私、もう見ていられませんッッ」

「これは……首相撲ッ……!」


トップクラスの人妻ともなれば、相撲と名のつくものは全て履修を済ませている。

子供に夜の営みを見られた際にプロレスごっこと誤魔化す派閥と相撲と誤魔化す派閥とがいるのは、人妻の大半が相撲を履修しているからということは、ここまで読んだ諸君ならお分かりのことであろう。


(か……勝てない……な、なんなんだこの人は……)


数度のチャランボのは、生意気ショタの体だけでなく心をも打ち砕いていた。

弱点であるはずのアナル攻めも効果がなく、他に弱点といった弱点も見当たらない。

生意気ショタは生意気というアイデンティティを手放し、崩壊する寸前になっていた。


「ひ、ひいっ……あぁ……」


ギブアップの言葉を聞くために、淫乱人妻が地獄の首相撲を解く。

しかし、生意気ショタ(もう生意気の原型がほとんどない)の口からは、明確なギブアップ宣言は出てこなかった。

ただ悲鳴とも呻き声とも取れるような言葉を漏らすだけで、淫乱人妻を拒絶するようによたよたと逃げようとするのみ。

その逃走劇も、度重なるチャランボによるダメージで、数歩も行かぬ内に終わりを告げる。

転倒し、それでも這うように逃げる生意気ショタを見て、淫乱人妻は瞼を閉じてため息を吐いた。


「……仕方のない子だね」


再び開かれた眼には、憐憫の色が滲んでいる。

受け入れがたい敗北を、仕方なく受け入れる――それが出来るのは、オトナだけだ。

子供はただ受け入れがたい現実を前に、嫌だ嫌だとダダを捏ねる。

その現実を変える術などなく、変える力などないのに。


「やだ……いや……やァだぁ……!」


ただの子供に成り下がり、生意気要素すら鳴りを潜めた生意気ショタに、淫乱人妻の眼光に立ち向かうことなどできない。

ただ身をすくめ、哀れな被捕食者としてガタガタ震えるだけだ。


完全に折れている。もう立ち上がることなど出来ない。

それでも試合は終わらない。

この大会にセコンド制度はない。

本人がギブアップしない限り、叩きのめされ意識を手放すその瞬間まで、闘いは続くのだ。


「諦めを教えてあげるのもオトナのお姉さんの役目……ってことかしらね」


ならば、引導を渡してやるのがオトナの役目だ。

そうして少年はオトナになる。

無邪気な少年をオトナにすることは、淫乱人妻の得意分野と言えた。


「や……やァだぁ……!」

「大丈夫、痛くて怖いのは――最初の一瞬だけだから」


言って、淫乱人妻が拳を地面へとつける。

そして、弾かれるよう目にも止まらぬ速さで駆ける。

一瞬にして生意気ショタの意識を奪ってKOさせてやるための、渾身のぶちかまし。

これを避ける術を、生意気ショタは持たない。


「出ましたッッ淫乱人妻選手渾身のぶちかましッッッ」

「あの威力に真っ向から対抗できるとしたらスカルファッカーくらいでしょうね」


この状況は、生意気ショタの想定していたものではない。

ここまで追い込まれた時点で、打てる手など残っていない。

逆転ファイターといえど、もうページ数も残ってねェぞという位に追い込まれたら、大抵そのまま押し切られてしまうものだ。

淫乱人妻の策が、生意気ショタの策を、老獪さで上回った。

この試合の総評はそれである。だが――


(強……! 速……! 避……無理! 否、死!)


策の及ばぬ所で、"ソレ"は起きた。

惨敗という受け入れがたい現実と、目の前に迫る圧倒的暴力。

そこから予想される無惨な未来に対し、ただのガキと化した生意気ショタは――


しめやかに、失禁した。


子育てをする上で、尿は避けられないもの。

淫乱人妻も、尿に対する忌避感はない。

勿論、児童の失禁に興奮する性癖もない。


超高速で流れる景色の向こう側で、失禁する少年。

その光景が淫乱人妻に齎す感情は、可哀想な子供に対する保護欲でしかない。

その保護欲も、倒さないという方向には決して行かない。

むしろ、長引かないよう本気でぶつかろうと思わせることになる。


だから、淫乱人妻にとっての不幸は、生意気ショタが失禁したことではなかった。

それだけなら、なんてことないはずだったのだ。

竿役が故に幼子ながら有している種の保存本能。

それが、淫乱人妻の目を引いた。


(馬鹿な……このボウヤ、大きい……ッ!)


ショタとは、その陰茎サイズにより大きく二分される種族である。

お姉さんにからかわれるくらいの“粗”と、お姉さんを分からせて快楽に落とす“巨”を通り越した“暴”である。

“暴”を備えたソレは、オトナからオトナをNTRためにチューンナップされたかのような禍々しさと、鞘から抜かれたことすらない純粋無垢で安全そうな雰囲気とが同居している。


「な、なんだァァァァーーーーーーッ!?

淫乱人妻選手、トドメのぶちかましではなく、低空タックルだァーーーーーーッッ」

「ワッツ!? あのムッチムチの質量でブチカマせば、それで勝負は着いていたハズ……一体ナゼ何でホワイ!?」


目にも止まらぬ超速タックル。

結果として、淫乱人妻が繰り出したのはそれである。

咄嗟に狙いが腹より下へと逸れ、その手はテイクダウンのためではなくズボンを下ろすためだけに生意気ショタの下半身へと絡みついていた。


(クク……馬鹿な女だ)


会場の中、フィジカルモンスターだけが、淫乱人妻の異変の原因に勘付いていた。

あれは全て、事前に行っていたNTR行為に原因がある。


(オレのビッグディックによりアナルの防御力は飛躍的に向上し、並大抵のチンポには堕ちることもなくなった……

 そのボーイ程度じゃあ満足もできなくなっているだろうよ)


生意気ショタのチンポは、フィジカルモンスターのチンポの魅力の足元にも及ばない。

例えこれから味わい尽くそうと、この程度のチンポに堕ちることはない。


(だが――アンタはチンポの許容量を見誤った。チンポの過剰摂取。ODさ)


チンポによる快楽落ちには段階がある。

淫乱人妻は己の快楽耐性の低さを自覚し、予め己を浮気中の身へと己を落としていた。

落としていたつもりだった。


だが実際は違う。

チンポの過剰摂取は、淫乱人妻をひとつ上のチンポ中毒へと落としていた。


そう、今の淫乱人妻はただの浮気者ではない。

チンポと見ればとりあえず手を出す歩く肉便器なのである。

見せかけだけの家庭円満も、ご近所付き合いも、全部投げ捨てて肉欲に溺れる依存レベル。

主人の前でアヘ顔ダブルピースをしたり、ビデオレターを送ったり、マンションの入り口で全裸を晒せるステージに来てしまっていたのであるッッ!!


(馬鹿なッ……旦那のチンポでチンポ慣れしているはずのこの私が、チンポの摂取量を見誤ったッ……!?)


覚悟を決め、冷静に交わったはずだった。

だが、はじめての浮気がもたらす快楽は、人妻の判断力を鈍らせ引き際を見誤らせると相場が決まっている。

更にはフィジカルモンスターに理性があり、獣のように求め合いながらも無理矢理な行為に出なかったことも裏目に出た。

己がチンポの摂取量を完全に決めているという実感が、ミスに気付かせなかったのだ。

加えて言うと、寝取られたあとで無茶な命令をされなかったことも、己がどこまでチンポに狂ったか判断する機会を奪っていたと言えよう。


(だが……今だ形勢は圧倒的有利ッッ)


そのはずであった。

だが、予期せぬ本能の暴走による困惑と、追撃しようとして生意気ショタのチンポに目が奪われたことで、状況は一変するッ!


「ッッッッ!?!?!?!?」


老若男女問わず、人は恥ずかしいと感じるものを隠そうとする習性がある。

未だまともな攻勢に出られていないショタにとっては、己の剥き出しのチンポは当然その対象だ。

無理矢理押し倒され剥き出しの下半身を眺められ恥ずかしがって抵抗するシチュエーションならば、当然――


「な、生意気ショタ選手、咄嗟に足を閉じるッッ」

「こ、この形は……!」


閉じられた足に、淫乱人妻の艶かしい首筋が挟まる。

そして、シャツをまくりあげようとしていた右腕が、拒まれるように掴まれる。


「さ、三角絞めだァァァァァーーーーーーッ!!」


圧倒していたことから来る慢心か、それとも油断か。

いや、やはり己の淫乱度合いを見誤っていたのが大きいだろう。

『漏らして濡れたままでは風邪を引く』大義名分があるせいで、ズボンを脱がしてしまったのがいけなかった。

そのせいで、混乱した頭が指示をストップしている間、当然のように右腕は上半身も脱がそうとしてしまっていた。

そのせいで、こうして今、三角絞めを極められている。


「ナメ……んじゃ……ないわよォ……!」


だが、そのフィジカル差は圧倒的。

小柄な相手の絞め技を力で引き千切るのは王道。

やって出来ないことではない。

諦めるにはまだ早い。

だというのに。


「あ、あーーーーーーっと! 淫乱人妻選手、三角絞めをされながら、生意気ショタ選手の下半身をナメ始めたァァァーーーーーー!?」

「子供の悪戯を軽くあしらい己のやりたいことを押し通してきたスタイルが、ここにきて牙を剥くとは……」


剥き出しの下半身に注目している中で首をロックされ、顔面はチンポの付近に引き寄せられた。

そうなってしまった以上、こうなってしまうのは必然。

小さな子供が眼の前にある小さなモノを思わず口に運んでしまうように、淫乱人妻は眼の前にある大きなモノを思わず口に運んでしまうものなのだ。

その本能には抗えない。


否。

正確には、抗っても無駄であると知っている。

それを自覚できない程、淫乱人妻は愚かでも弱くもない。


(恐怖と反射からくる三角絞め……力も所詮はお子様のソレ……しのげばまだあるッッ)


そして、それは生意気ショタにも言えることである。

この三角絞めが最初で最後のチャンスであり、ここを逃せばもう逆転はないであろうと理解していた。

例え弱弱しかろうと、持てる力で全力で絞め落としにかかる。


(こちらが逝く前にイカせるッ……チンポが萎えればその分隙間が出来るし、逆転はまだ可能ッ……!)


両足の拘束を振りほどくように、そしてチンポに刺激を与えるように、淫乱人妻が激しく頭部を前後に揺らす。

決着の時は近い。

客席も、固唾を呑んで見守っていた。


(酸素が届かないッ……でもイケるッ……私の肉体は、若いマッチョ数十人と乱交パーティーが出来る程に仕上げてきたッ)


穴という穴を塞がれても激しい運動が出来るよう仕上がった肉体は、多少の酸素不足をものともしない。

だが、つるつるピカピカ初めての刺激に困惑する生意気ショタのチンポもまた、簡単には堕ちなかった。


(視界が……霞む……早く……早くイッちまいなッ……)


淫乱人妻の視界がぼんやりと滲んでいく。

霞んだ視界に、やがて何かの輪郭が浮かび上がってきた。


(あ……)


幻聴であることは、すぐに分かった。

だが、どんな鬼畜淫乱プレイでも耐えられる自分ならば問題ないと、淫乱人妻は思っていた。

思っていたのに。


『これから二人で、笑顔が溢れる幸せな家庭を気付いていきましょう』

(あなた……!!)


やがてはっきりと見えた幻覚は、どこかナヨナヨとした夫のものだった。

淫乱人妻のストロークが強まる。

旦那が見えても、他の男のモノを加えるスピードは落ちていかない。


(参ったね……一番幸せだった頃の幻覚だなんて……)


どくんどくんと、淫乱人妻の口の中で何かが脈打つ。

口いっぱいに何かが広がっていた。

だが、もう味も何も分からない。


(こんなの……完落ちする……前フリじゃ……ない……か……)


精液と、敗北と、もう旦那以外のチンポがないと満足できない身に落ちたという事実とをしっかりと飲み込んで、それから淫乱人妻は意識を手放した。

全ては己の撒いた種。まあ吐き出された種もあるけど、まあさておき。

吐き出さず、最後まで飲み干して倒れたのは、彼女なりの矜持だったのかもしれない。


「しょ、勝負ありッッッ!!! 勝者、奇跡の逆転ファイター・生意気ショタ!!!」


大歓声が会場を包む。

だが、当の生意気ショタの気持ちは、チンポと同じく萎んでしまっていた。


たまたま拾えた勝ち。

誰が見ても、ラッキーパンチが当たっただけ。

あまりにも情けない勝利。


「うっ……ぐぅ……ぐひんっ……」


滂沱の涙をこぼす。

この情けなさも、小さな子供の特権だ。

沢山泣いて、沢山へこんで、そしてその分強くなる。

それが子供。それがショタ。


今はまだ、下を剥くしか出来なくても。

誤字。向くしかできない。下を剥くのはまだ無理。

さておき、彼はまだこれからだ。

大会はまだ続く。

きっとこの先、彼はまだまだ強くなる。


下を向いても、後ろは向かない。

いつかは前を向き、そして上を向いて己を貫く。

ショタもチンポも、そういうものなのだから。


【淫乱人妻 二回戦敗退】

【生意気ショタ 三回戦進出】

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十八禁属性最強トーナメント二回戦第五試合 椎名ロビン @417robin

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