遥天の使者

堀井 啓二

序章 プロローグ

 木星の周回軌道上で爆発が起こった。


 二つの小惑星が激突したことで生じた爆発は、一瞬空間が縮んだかの様に見えた次の瞬間、巨大な火球になり、まるで太陽の様な鮮烈な光芒を放って消えた。


時間にしてたった数秒の事であったが、閃光は遥か地球にまで届き、夜を昼間に変えた。


激震によって生じた波は巨大な木星の大気をも吹き飛ばし、地表にクレーターを作るほどであった。


 そして爆発の直前に放たれた素粒子の流れは、長い時を経て銀河の外れにある別の太陽系に届いた。


 素粒子の流れに含まれたメッセージを受け取った者が居たという事実は、まさに奇跡の様な出来事であり、誰がこの事を予測出来たであろうか。


 それから長い時を経て、地球人類は文明を築き、宇宙へ飛び出してから凡そ二百年が過ぎた・・・。

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