相談CASE2
―――はい、こちら退魔課です。どうされましたか?
「すいません、なんかクラスメイトが異種族っぽい姿になって襲ってきたんですけど。どうしたら落ち着かせられますか?」
―――今すぐ対処に向かうので住所を教えてください。というか現在進行形で襲われているんですよね?
「あ、はい。なんかお札を叩きつけたら結界みたいなのが張れて押さえ込めたんです」
―――わかりました。とりあえず住所を。
「『個人情報なので非公開』です」
―――ありがとうございます。まだ余裕はありそうですか?
「まだ抑え込めそうです。なんか滅茶苦茶暴れていますけど」
―――相手の特徴を教えてもらっても大丈夫ですか?
「えーと、狐耳が生えています」
―――尻尾の数は何本ありますか?
「えーっと、いち、に、さん…………動くなよ!分かんないだろ!」
―――やけに冷静ですね。
「なんか、お札の効果で安全って分かったら落ち着いて。あと向こうの方が狂乱しているから余計に」
―――狂乱?それは不味い…………もう落ち着くとかレベルでは無いです。とにかく尻尾は4本以上、妖狐の類で間違いないと。
「はい、そうですね」
―――年は同年代ですか?
「そうです…………あれ、さっきより大人っぽくね?」
―――年齢詐称の可能性があると。
「かも、しれませんね」
―――厄介な。もうすぐ機動隊が到着します。できるだけ相手を刺激しない様にしてください。
「分かりました」
~数十秒後の風景~
「おいこら年増ぁ!なに若い子に手を出そうとしてるんじゃい!」
「年齢詐称!詐欺!そして強姦未遂で確保ーーー!」
「うわっぷ!尻尾九本もあるじゃねえか!」
「わ゛り゛ゃ゛あ゛!なにしとんじゃ!」
「嫌じゃ嫌じゃ!無理矢理正体明かすなんてそりゃあもう結婚することに同意じゃろうて!?」
「そんな常識があったら今頃純粋な人間は絶滅してハーフ以下しか存在しとらん!」
「神妙にお縄につけ!」
「うわぁぁん!もっと堪能したいんじゃあああ!」
「ええい騒ぐな!すごいな安倍晴明の護符。これ無かったら十秒も持たずに誘拐されていたぞ…………」
「あなたが相談者?ちょっと事情を聞かせてくれるかな?」
「君!撮影は控えて!」
~その後、少年へのインタビュー~
―――退魔課の人たちに助けられたというお話を伺ってもいいですか?
「はい、っていってもアレは助けられたのか分からないんですよね」
―――と、いうと?
「いや、とても乱暴だったというか。たまたまコレクションしていたお札が効いたから安全だったからと叱られましたけど」
―――当時の状況をお聞きしても?
「なんというか、ヤクザとマル暴の戦いって感じでしたね。僕が貼ったお札をはがした瞬間にさすまたとか警棒とか、一人に対して大人数でタコ殴りでした」
―――随分と暴力的だったんですね。
「向こうも暴れていたから余計に、だったと思います」
―――ところで、襲われた理由は何だったんですか?
「これは、僕の趣味でいろいろなご利益があるお札をコレクションしていたんですよ。その一環でたまたま古本屋のおまけ狙いで本を買ったら、その本に術返しのおまじないがあったんです。それをクラスメイトで試してみたら、まさか異種族が学校にいるなんて思いもしませんでした」
―――それで、正体がばれたから襲い掛かられたと。
「多分、生かしておけなかったんでしょうね。ああいうのってプライドが高いんでしょ?高貴な人っぽかったし、それを易々と暴いたって言われたら…………」
―――でも、その高貴な人らしき異種族を滅多打ちにしたんですよね?
「はい、退魔課の人たちからは君も注意しないと危ないと言われましたけど、ここまでする必要があるのかなって」
―――確かにそうですよね。
「退魔課って噂通り異種族には厳しいみたいですね。半面、人間には優しいというか」
―――それは差別していると?
「そう見えちゃうんです。全体的に暴力的というか、僕らに対する優しさを分けてあげたらいいというか」
―――確かに、世間的にも異種族は受け入れられています。結論として、今回では貴方は友人を一人失う羽目になったと。
「そう、ですね。僕が安易に術返しをしたのが悪かったです」
―――なるほど。インタビューはここで終わります。ありがとうございました。
「ありがとうございました」
―――ところで、お礼なんですがもう少しお時間をいただけないでしょうか?
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