美少年魔法少女『マジカル☆ポエミィ』

第1話 マジカル☆ポエミィ出動!

 繁華街の隅にある寂れたバー。

 煙草の煙が店内を覆い、風景をぼんやりと霞ませている。

 そのバーの片隅のカウンターで、煙草の煙をツーテールの髪にまとわせながらスコッチの入ったグラスを傾ける存在が居た。

 金色のツーテール、鋭い眼光、鋼を束ねたような腕、丸太のような足、積み重なった鉄板のような胸板。

 二メートルを超える巨体をピンクのフリフリコスチュームに包み、一人スコッチを口に運ぶ。

 みんなの夢を守る使命を背負う、マジカル☆ポエミィその人だった。


 マジカル☆ポエミィがスコッチのグラスを傾けていると、店に小柄な男が入ってきた。

 その男は店内を見回し、マジカル☆ポエミィを見つけると、ニヤニヤしながら近づいてくる。

「旦那、探しましたぜ」

 マジカル☆ポエミィの隣の椅子に座ると、小柄な男はマスターにバーボンを注文した。

「へっへっへ、旦那、ご注文の情報、仕入れてきましたぜ」

 マジカル☆ポエミィはスコッチのグラスをテーブルに置いて男に一瞥をくれると、懐のマジカル☆ステッキに挟んであった一万円札を男の前に置いた。

「へっへっへ、いつもすみませんね」

 男はいそいそと金をポケットにしまいこんだ。

「……例のアレですがね、明日らしいですぜ。場所は旦那も良くご存知の場所で」

 男がそこまで言うと、マジカル☆ポエミィは無言のままカウンターから立ち上がり、出口に向かって歩き出した。

 手には金に輝くマジカル☆ステッキが握られている。

「へっへっへ、旦那、またのご利用を」

 男の声を背に、マジカル☆ポエミィは扉を開いて夜の街に消えていった。

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