優しい雨に死は溶けて
雨季志昇
第1話
ああ、そうか。
そうだったんだ。
もう、一度死んでいたんだね。
深く息を吸い、深く息を吐く。
はずだった。
吸い込んだ息は肺を満たさなかった。
只どこか分からぬ空間に吸い込まれていき、
吐くはずだった息はどこにもなかった。
そうして目の前で、僕は消え失せた。
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