後の祭り

ひじま


「......友だちの話なんだけど。」


放課後の教室。


離れの校舎から聞こえてくる楽器の音と、運動部の掛け声のBGM。

なんか青春っぽくない?なんて理由から始めた部活動をやめて、校則を破って、スマホを触りながらダラダラだべっていた頃。

いつもは自分から誘わないくせに、その日は向こうから相談があると、わざわざ部活を休んで、いきなり放課後の教室に呼ばれた。


内心驚きつつ、最初はいつも道理の中身のない会話を繰り返していたが、そのうち相手からの相槌が帰ってこなくなった。



何、どうした?


ふと後ろに座る友だちの顔を覗き込もうと振り返ると、いつも道理のような、はたまた泣いていたのか、重たいまぶたを指でつまむ中学二年生らしい姿があった。

普段の大人っぽい雰囲気からかけ離れた表情だ。


...ぶーたれているからか、口の先が少し尖っている。



すると視線に気づいたのか、少し慌てて


「こっち見んなし、あほ」


と視線をそらす。



で、何なの?


前を向いて再度問いかけた質問の後たっぷりの時間が流れ、次第に重たそうな口を開いた。


「もし、さ」




じっと続きを待つと、次第に。




「急に友達に好きになったらどうする?...って言われて」


「その時、友達が悪いこと言い返しちゃったんだって」



相手の声が震えて音がだんだん小さくなっていく。

思わず振り返ると、机に顔を埋めながら



「だからどうしたらいいか、わかんないよって、いってるんだ」



口を手で覆いながら、声を押し殺して泣き崩れる、友達の姿があった。

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