弓道インターハイ

第87話 競技形式

〈インターハイ開催日、1日目〉


 8月上旬、天気は快晴であり、その気温は夏さながらの猛暑日である。


 昨日はホテルで体を休め、俺は今朝早く試合会場へと来ていた。

 インターハイでは、選抜大会のように専用のブースなどは割り当てられないため、各自で待機場所を確保するようになる。

 そのため、早朝から弓道専用アリーナへと来た俺は、入口の近くに車を停め、そこを待機場所とするつもりだ。


 ただ、弓具に関しては、招集場所の近くに専用の場所が割り当てられているので、そこに置くことが可能だ。

 イタズラ対策だろうか、帽子を被った監視員が座っている。


「お疲れさまです。真弓高校です」

「はい。そちらの場所に置いてください」


 俺はその場所に道具を置いたならば、観客席のほうへと移動していく。


「まだ朝早いのに、観客席は凄い人数だな。それだけこのインターハイ戦に、皆注目してるって事か」


 一方選手達に関しては、もう少ししてから来ればいいと伝えてある。

 その理由は、試合会場から徒歩圏内の場所にホテルを借りたからだ。


 確保した観客席に、目印となるようにブルーシートと、小さなクーラボックスを設置して、俺はひとまず喫煙スペースへと向かった———



 この会場の喫煙スペースは、受付けをした場所を基準にするならば、その東側に設置してある。

 簡易的なテントと、無造作にパイプ椅子が並べてあるが、灰皿は一つのみ。

 よくお店の入口とかで見かける、銀色で円柱の形をした奴だ。

 煙草を咥えながら正面へと向くならば、優雅な白いお城と、駐車場がよく見えた。


「フウゥゥー………」



【インターハイの形式について】


 インターハイの競技の進行は、数日間かけて行われる。

 出場校は男女それぞれ48校。基本的な形式は選抜大会とあまり変わりなく、全てトーナメント戦により行われる。

「Aブロック」「Bブロック」と分かれていて、それぞれ24校(シード権は8校)が出場している。


 ちなみにシード権を獲得するには、昨年のインターハイ出場校から割り振りをされるが、基本的に抽選となる。

 シード権を獲得した高校は5回勝って優勝。そうでなければ6回勝って優勝だ。


 今回真弓高校はシード権を持っていないので、6回勝つ必要がある。


 以下、今回の大会のスケジュールだ。


 インターハイ初日。

・開会式

・女子の部、トーナメント1回戦

・男子の部、トーナメント1回戦


 インターハイ2日目。

・女子の部、トーナメント2回戦

・男子の部、トーナメント2回戦


 インターハイ3日目。

・女子の部、トーナメント3回戦

・男子の部、トーナメント3回戦

・女子の部、トーナメント4回戦

・男子の部、トーナメント4回戦


 インターハイ、4日目。

・女子の部、トーナメント準決勝戦

・男子の部、トーナメント準決勝戦


 インターハイ5日間。

・女子の部、トーナメント決勝戦

・男子の部、トーナメント決勝戦

・表彰式

・閉会式



 そして、今回の公式戦は、以下のルールで行われる。


・感覚Lvー向上

・身体能力Lvー向上

・痛覚Lvー現実

・疲労Lvー蓄積

・使用する道具ースキャン式

・矢の本数ー8本

リロード時間ー60秒


 基本的に選抜大会と変わりないが、インターハイのステージには機械的なギミックが加わる。

 あとは各々、演出が派手になる。


 今回真弓高校の1回戦目は、Bブロックの最後である。

 俺は灰皿に煙草を捨て、アリーナ観客席へと戻っていく。


(初戦はあの桃山高校だ。思うところはあるが、今は勝つ事を考えよう)

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