夏風邪6話

 熱が八・六まで上がったこともあった。咳は止まらないし、ご飯もあんまり食べられない。シャワーも浴びれない。丸一日、八度台をキープ。薬は苦いからもう飲みたくない。最初の頃は頑張ったけど。手足は痺れるし、歩こうとしたら視界がギラギラになってふらついて。足の痛みのせいで情緒不安定。これが四日続いた。


 眠くなってきたころ、夕飯だと呼ばれた。

「少しだけでも食べなさい」

 出されたそうめんをほんの少しだけ食べて椅子に戻った。起きた直後と食べた後は特に情緒不安定で泣きそうになる。でも泣いたら怒られるから堪えて。でもだんだん痺れは強くなって、頭やほっぺも痺れて、息が苦しくなる。胸のあたりも痛くなる。絞られてる雑巾の気分だ。流石に情緒不安定もコントロールできない。

「無理だと思ったら言ってね、夜間行こう」

 無理ってどのくらい?これくらいで行っていいの?たすけて…いやだ…。怒られたくない、怒らない保証なんてない。

「無理って、どのくらい…?」

「子供の頃は夜間救急ってわかってたのにねぇ、どうしたの」

 どうしたもなにもあるか。具合悪いの無視して街中に餃子食べに行ったり、デパ地下連れ歩いたり、そんな声出すなって発作のとき怒ったり、わかんないよ…わかんなくなったよ、もう…。全身痺れてる。いたい。お腹痛い。もう泣きたい。

「やっぱ夜間行くか」

 どっちでも頷くしかない。

「篠璃、琴葉夜間連れてくから家のことよろしくね。ガス止まってるか見てくれる?」

「はーい、止まってるよ〜」

 ご飯中に立たせてごめんね、しのりん…。

 車で病院に向かった。母が車椅子を持って来てくれてそれに乗って移動した。お姉さん曰く過呼吸。落ち着いてゆっくり呼吸するしかないと。点滴打つことになった。栄養を摂取できてないかららしい。点滴打って帰ったらリビングでしのりんがうとうとしてた。翌日からはちゃんとご飯が食べれるようになった。あの水、不思議だ。

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