エピローグ
第71話
あたたかな春の日差しに包まれながら、期待に胸を
入学式の日のキャンパスはどこを見ても人、人、人。
「探偵サークルで~す! お願いしま~す!」
大量のチラシを手にした
「絶対こんなたくさんいらないよね?」
「ああ、無駄な経費すぎる」
「というかさ、めっちゃ懐かれてるね、秋斗」
希は横目で秋斗の陰に隠れている幽霊を見た。びくりと
秋斗はユウの頭をポンポンとなでた。触れることはできないが、なんだか弟ができたみたいでちょっと嬉しいのだ。
すると、サボっている二人に気づいた春樹はドカドカと人混みを抜けてきた。
「秋斗も希も頑張って声出して!」
春樹の横に浮いている幽霊が「そうだそうだ!」と声をあげている、ように秋斗には
オカルト研究サークルの依頼で出会ったギャルの幽霊、レイ。彼女は今まで
春樹の手にはあんなにたくさんあったチラシがもうなくなっている。
いっこうに動こうとしない秋斗と希の後ろに春樹は回り込み、二人の背中をぐいぐいと押した。人間に触れられないレイも、エアーで背中を押してくる。
秋斗と希は観念したように大きく息を吐くと、顔を見合わせ、声をそろえた。
「「探偵サークルでーす。お願いしまーす」」
「棒読みじゃん!」
探偵が卒業してしまった新生探偵サークル。三人……いや、五人が所属する不思議なサークルの非日常は、まだまだ続きそうだ。
〈訳のわからぬ探偵は 完〉
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