第3話 調査に同行したいです!①
テントの中には、椅子に座った探偵、その正面に依頼人、椅子が足りないので
探偵はコホンと
「まず、自己紹介をしよう。私は
「
佐伯の次に依頼人の原田が小さい声で名乗ると、佐伯は後ろを振り返った。
「商学部一年の
「同じく商学部一年、
自己紹介が終わると、佐伯は再び原田の方を向き、このサークルの説明を始めた。
「一応探偵サークルとしてSNSのアカウントを作っているが、なんでも屋みたいな感じだ。相談、占い、調査、お
これは主に春樹と秋斗への
「お代は学食のご飯一食分。私の仕事に満足したら払ってくれればいい」
「わかりました」
原田はうなずく。
秋斗が隣の春樹を見ると、彼は楽しそうな表情で佐伯の説明に耳を
秋斗はというと、目の前に座る佐伯の肩にどうしても目がいってしまう。今まで人の姿をした幽霊ばかり
その点、
「じゃあ早速、依頼内容を聞かせてくれ」
佐伯は
「恋人がなにをしているか調べて欲しいんです」
「なにをしているか、とは?」
「最近、スマホを触りながら独り言を呟くことが多いんです……険しい顔付きなので、浮気ではないと思うんですけど、なにか危ないことをしていたり巻き込まれていたりしないか、心配で……」
ううむ、と佐伯は腕を組み、視線を上へと向けた。
床で犬の霊と
少女はなにもないじゃん、と不思議そうに首を
「恋人さんには聞いてみたんですか?」
と、急に春樹が質問し出す。
「いえ……聞ける雰囲気ではなくて。寝ていないのかクマもひどく、食欲もないらしいです」
その返答に春樹は佐伯と同じ姿勢をとった。
風がテントの
「その恋人の名前と学部を教えてくれ。あと、顔写真も見たい」
「私と同じ経済学部三年の
そう言って原田はトートバッグからスマホを取り出し、佐伯に写真を見せた。秋斗と春樹はこっそり後ろからのぞく。爽やかな笑顔で映る如月は、好青年という印象を受けた。
「如月は明日大学に来るのか?」
「えっと、三限だけあります」
「そうか、じゃあ調べが終わったらまた連絡する」
「お願いします」
原田がテントから出ていくと、春樹が興奮した様子でビシッと手を挙げた。
「佐伯さん! 俺らも調査に同行したいです!」
「かまわんぞ」
サラッと
おいおいおい、と秋斗は
「え、ちょっ、いいんですか。部外者なのに」
「依頼内容もバッチリ聞いているし、今さらじゃないか?」
佐伯はまた机に脚を乗せた。行儀が悪い。ドラマに出てくるヤンキーのようだ。
「たしかにそうですけど……」
「それに調査といっても特に面白いことはないしな」
「明日楽しみだね、秋斗!」
そんなキラキラした目でこっちを見るな。偶然にも翌日の三限に授業がない秋斗と春樹は、調査に同行することになったのだった。
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