第72話 光の遺跡(クリダモス)
「えーっと、戦えって言われてもな……どうやって?」
空を見上げると、空中で兵士たちがワイバーンと激しくぶつかり合っている。兵士たちは特殊な装置か、魔法を使い、空中で自在に飛んでいる。動きは迅速で、ワイバーンの強力な攻撃を巧みに避けている。
ワイバーンの大きな翼が風を切り、その咆哮が俺にまで届く。兵士たちもそれに合わせて、時には高く舞い上がり、時には急降下して、敵を翻弄している。
地上では巨大なドラゴンやトロルに果敢に挑んでいる兵士が見える。どの兵士たちも特殊な能力があるかのように、魔法や剣技を連携してぶつけている。一部の隙のない高度な戦闘に見とれてしまう。
俺の参加がどれほどの差をもたらすだろうか? そして、俺の仲間たちは無事なのか? そんな思いに耽っていると、突然、背中に何かがぶつかった。
「キャッ」っと甲高い声で驚く人がいた。謝る悠長などなく周りを警戒する。周りにモンスターは見当たらない。追われてはいないみたいだ。
「ご、ごめんなさい。警戒しなくても……大丈夫です」小柄な女性魔法使いである。兵士の軍服を着ているが、その上にローブのような服を装い、ロッドを持っていた。フードをしているので髪型は分からないが、色は銀色に光っていた。先を急ごうとしていると、彼女は制止した。
「あ……、ちょっと待ってて。あなたの剣に、ちょっといいことしてあげる」
そして、俺の剣に向かい何かを唱えている。
「……え?」
急に緑色に光り出し、驚いたが詠唱が終わるまで剣を動かさない。
詠唱が終わっても、剣は光り輝きつづけた。
「これは聖なる力を宿す魔法です。これでゾンビにもダメージを与えられます」
「ちょうど良かった。今の自分では何の戦力にもならなかったので……。これでゾンビと戦えます。ありがとうございます! これが魔法の力か……こういう魔法は初めてみました。あなたも
「そう、
「俺はウエノ・ミライです。よろしく……」
彼女は笑みを送りながら、急ぐようにそのまま激戦地の中心へと行ってしまった。
光る剣を振りかざし、仲間の元へと急ぐ。その間、数百数千とゾンビが発生している。だがまるで木偶のように弱い。この剣による効果が大きいのか、一撃切れば焼け焦げた臭気と共に溶けていく。全身にゾンビのドス黒い返り血を浴びながら中心へと向かう。剣技を使いながら上を見上げる。
先ほどから上が気になる。……どうしても、そちらに視線が向かってしまう。
それは、黄金に輝く
それが木々の合間から見える。大きな金属の体とは思えない速さで、その3本の脚を巧みに使って機敏に動き、まるで生きている生物のように俊敏だ。移動範囲が広く、動作が速すぎて、周りに近づくといつ踏み潰されてもおかしく無い。
さすがクラスSのドラゴンで、その
ゾンビの集団が巻き込まれた。下敷きになったり、衝撃で飛ばされてぐちゃぐちゃになっている。
周りのゾンビを片付けていると、
巨大な建造物が自走しているかのような迫力がある。
それも、全体が黄金で、光り輝いている。高さが10メートル、長さは30メートルほどあり、ドームのような形で芋虫型と言われている機種の超大型版だ。正面の巨大で分厚いブレードが、ゾンビや木々を押しつぶし、轟々と土煙を空高く上げながらこちらに向かってくる。
その豪奢な作りと迫力に、俺は呆然と立ち伏す。俺の前でゆっくりと止まり、そこから一人の軍人が降りて来た。
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ウエノがメイと出会った時の挿絵です。応援してくれると嬉しいです。
https://kakuyomu.jp/users/createrT/news/16817330668663978819
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