第56話 パーティー集結
元ハンターキラーの4人組が加わったことで、パーティーは「トラブルの予感満載」のスタートを切ることになった。
――これって他にもパーティー募っていいんだよな?
『もちろんです。ただし、他のパーティーに危害が発生したらマスターの責任になります』
――だよな。何だか
そんな気持ちをよそに、こいつらは頭に手を組んでガムを噛みながら話しかけてくる。
「おい、ウエノ私たちは何をすればいい?」
「ウエノ! ポッンポン!」
「早く惑星から出してくれるイケメン探せよ」
「分かったから。大人しくしてくれるのが条件だぞ。何だか欲求が増えている気がするが……リーダーのいうことはしっかり聞いてもらうからな。じゃなきゃ惑星外に出る事を手伝わないぞ」
「へいへい」
「「ウィ〜ス」」
「とにかく、今夜泊まるホテルの代金もないんだ。どうしても、あと数名パーティーメンバーを探して、移動兵機を借りないといけない。協力してくれ」
テワオルデが言葉を付け足す。「ウエノ様、紹介所に戻りましょう。それと、大変失礼ですが、4名様の名前を伺ってもいいですか?」
「私はヘルドだ。一応メンバーのリーダーをしている」
「俺はヒメカダイラス。ヒメカと呼んでくれ」
「うちはシンだ」
「パラスパラス!」
「名前だけ? 苗字とかはないのか」俺は、その雑な自己紹介に質問する。
「うちらが付け合った名前だ。呼び名というやつだ。うちは名前や苗字は分からないんだよ」
――そうか、記憶を失っているんだったな。
「なるほど、紹介ありがとうございます。私がテワオルデ、こちらがマリです。彼はリーダーでウエノ・ミライといいます。では紹介所に戻りましょう。そこでは静粛にお願いします」
「こいつの方がリーダっぽくね?」
「ウエノ、まとめられてないな」
図星をつかれ「そうですね! 俺はまだまだの半人前ですよ」と少しイラつきながら答える。
「怒ってる。マジウケる。ザコが」
「バラティラんマジコ!」
何が面白いのか下品な笑い声を上げている。
そうこうしながら、賑やかに紹介所に入るとテワオルデの名前が呼ばれた。
そこへ向かうと、長い白髭を蓄えたおじいさんと中年女性が2人魔法使いの装いをして立っていた。
仲介者が間に入り、彼らの説明を始める。
握手を交わし、新たなパーティーの仲間が決まった。
「私はエルザレット・ウィンドレイヴでこの爺さんはテベス・ギルガメキラムって言うんだ。見ての通り、私たち2人とも魔法を使える。よろしくな」
「こちらこそよろしく!」
俺はまともそうな人が仲間になってくれたと安堵する。
ミラクルがさらに彼らのことを説明する。
『ステータスを確認しました。魔人やテワオルデほどではないですが、かなりの実力者です。ギルガメキラムはレベル90を超えています。防御が低い典型的な魔法使いタイプですが、頼もしい仲間となるでしょう』
――よし! 幸先は最悪だったけど、これでちゃんとしたパーティーっぽくなってきたな。
「俺たちはなかなか、クセのあるパーティーだけどよろしく」と、俺は一人ひとりと握手を交わし、全員を紹介をした。しかし、4人、いや、マリを含めると5人の態度がやはり悪い。2人の反応を懸念したが、あまり気にしてないようでそれは救いだった。
「移動兵機を借りるには、あと1人必要みたいですね。今日はもう夕暮れが近い。今日中にと言うのは難しいかな」と挨拶後に言った。
「それなら1人、単なる数合わせで良いなら知ってるよ」とエルザレットが言う。「ほらそこにいる」と、1人の女性を指差した。
そこには、やや幼ない顔つきの女性が1人座っていた。髪は明るい茶色で、暇そうに、何やら思いにふけりながら頬杖をついている。
まず、直接声をかけるより、仲介者に彼女の情報を尋ねた方がいいと思い、話を聞いた。すると、彼女は約1ヶ月もここでパーティーを探しているが、なかなか見つからない状況だという。
「何か理由がありそうだが数合わせだから問題ないか」と、みんなと話し合い、それから彼女に声をかけることに決めた。
熱心にパーティの勧誘をすると彼女は、「私は何もしないからな。だるいし」と、
うん、まさにただの数合わせだ!
この紹介所で、何をしたいのか聞きたいくらいやる気が無い。1ヶ月もパーティーを組めずにぼっちな理由が聞かなくても分かる。パーティー募集の看板にも「ただいまのモチベーション、地の底」と追記すべきだ。
年齢は成人前で名前はリリフィア・アナンナスと言うらしい。
それでは気を取り直して、移動兵機を借りて出発だ!
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