第49話 朝日


 いつの間にか壁に寄りかかりながら寝ていた。


 カーテンを開けたのか、眩しい光がまぶた越しに刺激する。


 両手を上げてあくびをする。


 マリはぬいぐるみに囲まれながら、ブランケットからほぼ体を出して、まだ寝ている。こう見るとただの子供だ。かわいい寝顔がなんだか癒される。


「本当のパパになったような顔ですね」とテワオルデさんは微笑む。


「いや〜、そんなことでもないですよ」と軽く笑う。まあ、とてもじゃないけどね。この魔人から逃げられないだけだから。でも何でこの子はこんなにしつこく俺につきまとうのだろう。


『多分、マスターが美味しそうだからです。魔人は大きくなると人を食べることもあると言います。おそらく魔人の王という彼は姿を変えられるまでたくさんの人を食べているはずです』とミラクルは歌いすぎてかすれた声で、恐ろしいことを言い出す。『食べ頃まで待っているのでしょう』


 ミラクルのいうことは半信半疑だが、AIなのだから本当のことかもしれないと背筋が凍る。可愛い寝顔が全く違うものに見える。


「スースー……。もう食べられないよ。スーピー」


「可愛い寝言です。何を食べている夢ですかね」とテワオルデさんは笑ったが、俺の顔はさらに青くなった。

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