――サンミラ――350年後の未来へ
スノスプ
序章 未来の世界
第1話 解凍
ピッピッピッ……ピ――。プシューバフッ!
三日間続いていた解凍作業がようやく完了し、冷凍装置のドアがゆっくり開いた。
中からは、全く動く気配がない。
その部屋は何もない真っ白な静まり返った空間だった。教室ほどの広さに5つの冷凍装置が並んでいたが、4つの装置は既に開いていた。
割れるほど頭が痛い。この狭い箱の中で長く眠っていた様だ。
永い夢から目を覚ます感覚に襲われた。その夢はあまりにもリアルで、何度も何度も人生を繰り返しているかのような深遠な時間感覚がそこにはあった。
急な吐き気を感じ、嘔吐を繰り返したが、何も出てこなかった。体は鉛のように重く、横になりながら苦痛を耐えた。
「誰か……誰もいないのか。ここは、一体どこなんだ?」
疑問が心を占めた。周りはモヤがかかっているように視界がはっきりしない。
さらに空腹感と吐き気に襲われ、なんとか起き上がり冷凍装置から這い出た。
「何かないか、腹が減った」とつぶやいた。
疑問が次々と浮かぶ。
「いったい自分は誰だ、ここになぜいる。……苦しい」なんとか細い声を出し、自分の意識を取り戻そうとした。
しかし、結局、意識が朦朧とし始め、周りがぐるぐると回る中で、ドアを開く音が聞こえた。
「助けてくれ……」
声にならない声を上げた。誰かが近づいてくる音が聞こえ、視界はぼんやりとしたが、足元が見えたところで気を失った。
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